独断的映画感想文:いとみち
日記:2021年6月某日
映画「いとみち」を見る.
2021年.監督:横浜聡子.
出演:駒井蓮(相馬いと),豊川悦司(相馬耕一),黒川芽以(葛西幸子),横田真悠(福士智美),中島歩(工藤優一郎),古坂大魔王(成田太郎),ジョナゴールド(伊丸岡早苗),宇野祥平(青木),西川洋子(相馬ハツヱ).
いとは16歳の高校1年生,津軽三味線は県大会で特別賞を取った実力.幼い時母に死に別れ,東京生まれの父と津軽三味線の名手の祖母と暮らす
祖母になついて育ったいとは訛りがきつく,人見知りの性格もあって友人はいない.最近は三味線も手にしない日々が続く.そんな自分を打ち破ろうと始めたアルバイトは,青森市の「津軽メイドカフェ」だった.
最初はろくに口もきけなかったいとだが,ハンサムで頼りになる店長工藤,自称「永遠の22歳」の葛西幸子,漫画家を目指す福士智美ら同僚と個性ある常連客に囲まれ,次第に打ち解けていく.クラスでやはり孤立している秀才伊丸岡早苗とも友人になることができた.ところがある日オーナーの成田逮捕のニュースが流れる.カフェは存亡の危機に立つが….
よくある女子高生の成長の物語.その女子高生が津軽弁がきつく,三味線が得意というのが物語のポイント.
いとと祖母ハツヱの津軽弁は半端ではない.画面には字幕も出ないから聞き取るしかないが,少なくとも映画の前半は何を言っているか基本判らない(それで映画が判らないということはないが).
一方いとの三味線はなかなか素晴らしい.主演の駒井蓮は,青森県出身なので津軽弁はネイティブだが,津軽三味線は1年間の特訓で覚えたとのこと.祖母役でプロの演奏家・西川洋子との連れ弾きシーンも良いが,メイドカフェで引く「津軽アイヤ節」の独奏が感銘的だ.
岩木山をはじめとするこの地方の風物を描くカメラも美しく,また音楽映画にふさわしい音響も素敵.母との思い出などがしみじみと描かれる一方,クスっとさせる小ネタがちりばめられているのも嬉しい(相馬家の玄関に常備してある乾し餅(?)を家出に際しいつもの様に持たされるシーン,映画「八甲田山」のテーマ曲「雪の進軍」を突然父親が歌いだすシーン,伊丸岡早苗の好きなバンドが知る人ぞ知る「人間椅子」だというシーン等々).見て損は無し.
★★★☆(★5個が満点).
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