独断的映画感想文:よこがお
日記:2021年6月某日
映画「よこがお」を見る.
2019年.監督:深田晃司.
出演:筒井真理子(白川市子・リサ),市川実日子(大石基子),池松壮亮(米田和道),川隅奈保子(大石洋子),小川未祐(大石サキ),須藤蓮(鈴木辰男),大方斐紗子(大石塔子),吹越満(戸塚健二).
訪問看護ステーションで働く看護師・市子は,献身的で誠実な業務で好評を得る.もと画家である大石家の気難しい祖母を看護し,家族の信頼も厚い.引きこもりだった基子は市子に傾倒,介護士を目指して妹の高校生・サキと共に勉強を市子に見てもらっている.
ある日2人の勉強を見ている喫茶店で,市子は甥の辰男と行き会う.その後サキが行方不明となる事件が発生,数日後発見されるが,サキを拉致監禁していた犯人は辰男だった.市子は辰男が甥であることを,サキと基子の母・洋子に告げようとするが,市子が大石家に出入りしなくなる事態を恐れた基子の強硬な反対で思いとどまる.
しかし市子が子連れの医師・戸塚と近々結婚すると知った基子の態度は豹変,メディアに辰男と市子の関係を伝え,市子を中傷する情報をメディアに流す.メディアが事業所や自宅を取り巻き,市子は仕事も自宅も戸塚もすべてを失う結果となる….
映画の冒頭は,全てを失った市子が変名で基子の恋人・和道に近づき,基子から彼を奪い取るべく働きかけるシーン.市子の不条理な状況は判るし,基子への復讐を目指す心理状態もわかる.しかしこの映画には曖昧なところが多すぎる.
辰男はなぜサキを襲ったのかは,全く説明されない.時系列が良く判らないことも映画を理解し難くしている.ラストシーンは事件からどのくらいたった後だったのか(辰男は刑務所から出てきたし基子はもう介護士として働いているので,数年は経っているのかもしれない).あいまに挿入される,市子の精神の動揺を示すような妄想シーンも,腑に落ちないままだ.回収されない伏線らしい映像も,妄想だったのかもしれないが,区別は出来ない.
見終わった後に「?」がいくつも残る作品.ヘアヌードまで見せた俳優が気の毒だ.★★(★5個が満点).
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