独断的映画感想文:海を駆ける
日記:2021年7月某日
映画「海を駆ける」を見る.
2018年.監督:深田晃司.
出演:ディーン・フジオカ(ラウ),太賀(タカシ),阿部純子(サチコ),アディパティ・ドルケン(クリス),セカール・サリ(イルマ),鶴田真由(貴子).
インドネシア:アチェの海岸に日本人が打ち上げられる.記憶喪失と診断された男は,ラウ(海)と名付けられ,現地のNGOで働く貴子が預かることになる.貴子の息子で大学生のタカシは,日本語も喋るがインドネシア生まれのインドネシア国籍,カメラマンを目指す.親友の学生・クリス,クリスの幼馴染でバイトしながら記者を目指すイルマとつるんでいる.
そこに貴子の姪・サチコが父の遺骨散骨のため日本からやってくる.サチコは大学もやめ引きこもっていたらしい.貴子と若者4人に見守られながらラウは暮らすが,彼は日本語もインドネシア語も達者と判る.そのうち彼の周りに不思議な「奇跡」が頻々と起こるようになってくる….
ネタバレあります.不思議な映画である.4人の若者はそれぞれに事情を持つが,映画の中でそれは何も解決されない.4人の若者たちが2組のカップルになる訳でもない.
またラウの起こす「奇跡」は村の少女の命を救うが,一方で別の村人が(おそらく彼のために)命を落とす.ラウはその見た目に拘わらず,善意の人ではなく,そもそも人ではないらしい.映画のラストシーンでは,まさにラウが「海を駆け」て姿を消す.
狐につままれたような結末で,いくつもの「なぜ??」が残されたまま映画は終わってしまう.しかしその割には最後まで見てしまう緊張感は維持される.インドネシアの風景も美しい.映画を見終わった後の印象は悪くない.この監督の「さようなら*」も不思議な映画だったが,本作もまた別の不思議映画.
★★★☆(★5個が満点).
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