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2021/07/02

独断的映画感想文:最初の晩餐

日記:2021年7月某日
映画「最初の晩餐」を見る.1_20210704162701
2019年.監督・脚本:常盤司郎.
出演:染谷将太(東麟太郎),戸田恵梨香(北島(東)美也子),窪塚洋介(東シュン),斉藤由貴(東アキコ),永瀬正敏(東日登志),森七菜(東美也子(少女時代)),楽駆(東シュン(青年時代)).
主人公・麟太郎はフリーになって間もないカメラマン,その父で元登山家の日登志が死んだ.麟太郎は福岡に帰り父の葬儀に出席する.姉・美也子も夫と2人の子どもと共に来る.6_20210704163801
親戚が集まって通夜となるが,母・アキコは遺言だからと言って,自分で振舞料理を作り始める.その最初の皿は目玉焼きだった.麟太郎は母と最初に会った日を思い出す.20年前,麟太郎7歳,美也子11歳の時に,アキコは17歳のシュンを連れて嫁いできた.その最初の日にアキコは盲腸で入院,父が作ってくれた料理が目玉焼きだった.アキコが作る振舞料理に次々と思い出は重なる.
シュンと姉弟は次第に打ち解け,アキコも姉弟の心を掴んで,家族が徐々に出来ていった.しかしある日,アキコの前夫が亡くなった知らせが届く.しばらくしてシュンの22歳の誕生日に,日登志はシュンと2人で登山に出掛ける.翌日帰ってきた2人,シュンはその日に家を出て,二度と帰ってこなかった….5_20210704162701
一度崩壊した家族の再生をめぐる物語.麟太郎は恋人がいるが,家族というものに確信が持てず結婚に踏み切れない.美也子も夫をないがしろにする態度が見え,夫婦仲はうまくないようだ.ただ,シュンが出て行った後の15年間,残された4人がどのような状況で暮らしてきたのかは全く触れられず,この点は釈然としない.麟太郎・美也子ともどもアキコに対してはぎごちなく,家族は修復されなかったままに見える.3_20210704163101
シュンが15年前に家を出ていった理由は,最後にアキコから明かされる.また,終盤こつ然と現れたシュンの行動がこの辺を理解するカギの様で,結局大人として家族の崩壊を受けとめ得たシュンと,その時まだ子供だった麟太郎・美也子との違いがあったと思われる.
実力派俳優たちがそれぞれに好演し,その演技はなかなかに見ごたえがある.特に窪塚洋介の存在感は圧倒的だ.音楽も美しく,映画らしい映画だった.4_20210704163101
舞台は福岡,アキコとシュン以外の登場人物は皆福岡弁を喋るが,ロケ地は長野県上田市だそうで,交通案内等に福岡の地名が出ているのはどうやって撮ったのか,興味深い.
★★★☆(★5個が満点).
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