« 独断的映画感想文:イーダ | トップページ | 独断的映画感想文:ノマドランド »

2021/07/18

独断的映画感想文:パブリック 図書館の奇跡

日記:2021年7月某日
映画「パブリック 図書館の奇跡」を見る.1_20210720095601 2018年.監督・脚本・製作:エミリオ・エステヴェス.
出演:エミリオ・エステヴェス(スチュアート・グッドソン),アレック・ボールドウィン(ビル・ラムステッド),ジェナ・マローン(マイラ),テイラー・シリング(アンジェラ),クリスチャン・スレイター(ジョシュ・デイヴィス),ジェフリー・ライト(アンダーソン),マイケル・K・ウィリアムズ(ジャクソン),ガブリエル・ユニオン(レベッカ・パークス),ジェイコブ・バルガス(エルネスト・ラミレス),チェ・“ライムフェスト”・スミス(ビッグ・ジョージ).
グッドソンはまじめな図書館員,過去には酒とクスリにおぼれホームレスになったこともあるが,本に目覚め立ち直り今は図書館で正職を得ている.彼の勤めるオハイオ州シンシナチ市中央図書館は,一定数のホームレスが(特に冬場は)一日中館内で過ごし,グッドソンも彼らとは顔見知りだ.5_20210720095601
ある冬の日,シンシナチを猛烈な寒波が襲う.シェルターは満杯,シェルターに入れなかった100名ほどのホームレスたちは,閉館時刻が来ても退館しないと宣言して3階に集まる.巻き込まれたグッドソンは,彼らを追い出せば凍死者が出ると考え,彼らと共に3階に立てこもることにする.
3_20210720095601 市警からは交渉人が来て説得にあたるが,次の選挙で市長を狙う検察官・デイヴィスの偏見に満ちたコメントや,TVレポーター・レベッカのセンセーショナルな報道で,グッドソンは精神を病んだ危ない容疑者にされてしまうが….
いくつも公共の機関はあるが,図書館はその中でも特別な存在である.図書館は役所や警察のように市民に命令することはしない一方,市民の知的要請に応え,市民の個人情報を守るためには闘わなければならない(日本の図書館も無論そうである).4_20210720095601 その図書館にホームレスが凍死を避けるために逃げ込んだ時,「公共」はどう動くべきか.この映画はその答えを提示するファンタジーだ.
グッドソンは「公共」はホームレスの側に立つべきだと考える.検察官デイヴィスは,退館時間を破って残ったホームレスは警察力で叩き潰すべきと,躊躇なく考える.交渉人はその間で苦悩する.ではホームレスたちは,どのような結論を出すか.2_20210720095601
ホームレスの側には最終的に図書館長も身を投じるのだ.図書館長の「公共図書館はこの国の民主主義の最後の砦だ」というセリフには,しびれた.TVレポーター・レベッカの電話インタビューに,グッドソンが「怒りの葡萄」の最後のパラグラフを朗読するシーンも素敵.結末には静かな深い感動がある.
手応えある映画,一見の価値あり.
★★★★☆(★5個が満点).エミリオ・エステヴェスLove.
にほんブログ村 映画ブログへ にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ


« 独断的映画感想文:イーダ | トップページ | 独断的映画感想文:ノマドランド »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 独断的映画感想文:イーダ | トップページ | 独断的映画感想文:ノマドランド »