番外:独断的歌舞伎感想文 七月大歌舞伎 第一部 あんまと泥棒/蜘蛛の絲宿直噺
日記:2021年7月某日
歌舞伎座で「七月大歌舞伎 第一部」を見る. 村上元三 作・演出,石川耕士 演出.「一、あんまと泥棒(あんまとどろぼう)」.出演:あんま秀の市(中車),泥棒権太郎(松緑).「二、蜘蛛の絲宿直噺(くものいとおよづめばなし) 市川猿之助六変化相勤め申し候」.出演:女童熨斗美,小姓澤瀉,番新八重里,太鼓持彦平,傾城薄雲実は女郎蜘蛛の精(猿之助),平井保昌(松緑),坂田金時(坂東亀蔵),碓井貞光(中村福之助),卜部季武(弘太郎),金時女房八重菊(笑三郎),貞光女房桐の谷(笑也),渡辺綱(中車),源頼光(梅玉).
あんまと泥棒は中車では3回目,松緑では2回目.純情な泥棒が,口八丁のあんまに手玉に取られる物語.渡辺保評で「芝居が一つ足りない」というのは,例えば客の誰もがあんまが嘘をついているのが判っているのに,泥棒だけが判っていないという構造を示すことだろう.それ以外は双方達者な芝居で面白かった.
蜘蛛の絲宿直噺は昨年11月の再演.猿之助が5人6役を早変わりで演じる.今回は亀蔵・福之助の踊りはややもたもたしていたが,笑三郎・笑也の太鼓持ちとの踊りや,梅玉以下の四天王と蜘蛛の精との踊りが素敵.松緑の押し戻しがさすがに立派で,舞台は華やかに終わり,昼前の第一部ながら見応え十分だった.
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