番外:独断的歌舞伎感想文 八月花形歌舞伎 第二部 真景累ヶ淵/仇ゆめ
日記:2021年8月某日
歌舞伎座で「八月花形歌舞伎 第二部」を見る.
三遊亭円朝 口演より.「一、真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち) 豊志賀の死」.出演:豊志賀(七之助),お久(児太郎),新吉(鶴松),噺家さん蝶(勘九郎),伯父勘蔵(扇雀).北條秀司 作・演出.「二、仇ゆめ(あだゆめ)」.出演:狸(勘九郎),深雪太夫(七之助),舞の師匠(虎之介),揚屋の亭主(扇雀).
真景累ヶ淵,原作はおどろおどろしい三代にわたる殺し合いの因縁話.富本節の師匠・豊志賀は,若い恋人の新吉と弟子のお久ができているとの妄想に苦しんで顔に腫物ができている.それで死んでしまうのだから,新吉・お久はいい迷惑.実は新吉は豊志賀にとって父の仇の息子だが,観客はもちろん,新吉さえそれを知らないので,唐突に表れる豊志賀の幽霊が,怪談風コントになってしまう.コロナ禍の気散じにはこれで面白いけど.勘九郎の噺家が豊志賀の最後を仕方話で伝える場面が,鶴松との掛け合いがおかしくて傑作.
仇ゆめは,太夫に恋したタヌキを描く舞踊劇.こちらも勘九郎の,表情豊かな中村屋らしいひょうきんな踊りが楽しい.
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