独断的映画感想文:おらおらでひとりいぐも
日記:2021年8月某日
映画「おらおらでひとりいぐも」を見る.
2020年.監督:沖田修一.
出演:田中裕子(現在の桃子さん(75歳)),蒼井 優(昭和の桃子さん(20歳~34歳)),濱田 岳(寂しさ1(桃子さんの心の声)),青木崇高(寂しさ2 (桃子さんの心の声)),宮藤官九郎(寂しさ3 (桃子さんの心の声)),六角精児(どうせ(桃子さんの心の声)) ,東出昌大(周造 (桃子さんの夫)).
映画の冒頭,独り茶の間のちゃぶ台でお茶を飲む桃子さん.3人の同じ服装の「寂しさ」が彼女を取り囲んで,口々に話しかけている.やがて3人は隣の座敷でジャズを演奏し始め,桃子さんはそれに合わせて踊りながら着替えていく….
桃子さんは75歳の独居老人.1964年,親の勧める見合いに気が進まず家出,住み込みの女給をしながら東京で生きてきた.ある日,同じ訛りで話す客の周造と出会い,意気投合して結婚する.主婦として2人の子どもを育てあげたが,周造は数年前に急死,子供達とも疎遠になった.今は図書館と診療所に行く日常を過ごす….
原作は若竹千佐子の芥川賞受賞作.桃子さんのお国訛りの自問自答による,その生涯の総括と感情の吐露を,若い時・子供の時の桃子さんと4人の心の声,合計7人の桃子さんで映像化した物語.これに桃子さんの心に浮かんだ地球の歴史や古代の生物(このテーマで桃子さんは,図書館の本を借り続けている)のアニメーションが,ちりばめられる.かなりぶっ飛んだファンタジー的映画である.
テンポはのんびり,やや長めの映画だが,7人の桃子さんが(子役も含めて)好演,特に田中裕子は独特の雰囲気で映画を引っ張り,最後まで面白く見た.
7人の桃子さんや子供の時の子どもたちと連れ立って,秋の日に行く周造の墓参のシーンは,原作でも圧巻だったが印象的なシーン.まあ老人向きの映画だが,一見の価値あり.
★★★☆(★5個が満点)
人気ブログランキングへ
コメント