独断的映画感想文:人生はシネマティック!
日記:2021年9月某日
映画「人生はシネマティック!」を見る.
2016年.監督:ロネ・シェルフィグ.
出演:ジェマ・アータートン(カトリン・コール),サム・クラフリン(トム・バックリー),ビル・ナイ(アンブローズ・ヒリアード),ジャック・ヒューストン(エリス・コール),ヘレン・マックロリー(ソフィー・スミス:マネジャー姉),エディ・マーサン(サミー・スミス:マネジャー弟),ジェイク・レイシー(カール・ランドベック:ヤンキー),レイチェル・スターリング(フィル・ムー:情報局員),ジェレミー・アイアンズ(陸軍長官).
1940年ロンドン,連日独軍の空爆と戦う国民向けに,情報局は戦意高揚映画の製作を続けている.コピーライターのカトリンは,ダンケルクで漁船で救援にあたった双子姉妹のエピソードを取材,この話に基づく企画を提案して採用され,脚本チームに抜擢される.
女性だからと男性の半分近い薄給に悩みつつ,脚本チームの一員として,局の方針「信憑性と楽観性」を盛り込みつつ奮闘するカトリン.彼女の夫はスペイン戦争で負傷した売れない画家,夫のためにも後には引けない.しかしベテラン俳優の不満や局の検閲,陸軍からの介入でアメリカ人を突然登場させる等トラブルが続出,そのたび脚本の修正に奔走する.やがてダンケルクを模したロケ地で撮影に入るが,脚本チームも缶詰めになる….
戦時下での映画作りの映画.戦時下だから悲しいことはいろいろ起こる.空爆のため昨日いた人が今日はいなくなる.物語の軸には悲劇がしっかりとあるのだ.その中でのロンドン市民の不屈の生活が,印象的だ.
一方でこの時代の映画作りの現場のすばらしさ,癖の強い俳優たちの活躍,笑いとペーソス,思わずニヤリとする名セリフの数々,そして恋.この映画はイギリス映画らしい特徴が満載,映画好きには堪らない魅力にあふれている.
映画を撮っている監督はドキュメンタリー出身だという脚本チームでの会話も伏線になっていて,それが回収される終盤のシーンには胸を打たれた.俳優も素敵,「マイ・ブックショップ」で見たビル・ナイ,007ガールのジェマ・アータートンが素晴らしい.一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点).
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