番外:独断的歌舞伎感想文 九月大歌舞伎 第三部 東海道四谷怪談
日記:2021年9月某日
歌舞伎座で「九月大歌舞伎 第三部」を見る. 四世鶴屋南北 作.「東海道四谷怪談(とうかいどうよつやかいだん) 四谷町伊右衛門浪宅の場/伊藤喜兵衛内の場/元の浪宅の場/本所砂村隠亡堀の場」.
出演:お岩/お花(玉三郎),直助権兵衛(松緑),小仏小平/佐藤与茂七(橋之助),お梅(千之助),按摩宅悦(松之助),乳母おまき(歌女之丞),伊藤喜兵衛(片岡亀蔵),後家お弓(萬次郎),民谷伊右衛門(仁左衛門).仁左衛門・玉三郎の四谷怪談.
2013年に通しで見た四谷怪談は染五郎(現幸四郎)・菊之助で,菊之助の美しさが際立った.今回の玉三郎も素晴らしい.薬を飲もうと立った時のその立ち姿,宅悦に抱きすくめられた時の女形ならではの繊細な体の線,さらには毒薬を飲んで顔貌が崩れた後の凄惨さが目に残る.
宅悦から事の真相を聞かされて,次第に人間ではなくなっていく様なその変化の恐ろしさも印象的.一方仁左衛門の,そんなお岩にひるまずに立ち向かう悪の美しさも素晴らしい.
隠亡堀で戸板にくくられたお岩・小平が流された後,お花・与茂七に早変わりして伊右衛門・直助と見得を切る幕切れは,錦絵のような美しさだった.
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