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2021/09/11

独断的映画感想文:ザ・ピーナッツバター・ファルコン

日記:2021年9月某日
映画「ザ・ピーナッツバター・ファルコン」を見る.1_20210912161701
2019年.監督:タイラー・ニルソン.
出演:シャイア・ラブーフ(タイラー),ダコタ・ジョンソン(エレノア),ザック・ゴッサーゲン(ザック),ブルース・ダーン(カール),ジョン・バーンサル(マーク),ジョン・ホークス(ダンカン),トーマス・ヘイデン・チャーチ(ソルトウォーター・レッドネック).3_20210912161701
ザックはダウン症の青年で怪力の持ち主,今は老人介護施設に収容されている.彼の夢はプロレスラーになること,ソルトウォーター・レッドネックというプロレスラーのビデオを擦り切れるほど見て,彼が運営するプロレス学校への入学を熱望し施設を脱走する.担当の看護師エレノアは,施設の命令で彼を追う.4_20210912161701
タイラーは漁師,免許を持ってカニ漁をしている漁師の獲物を盗んでいたことがばれ,トラブルの挙句地元を逃げ出す.タイラーの船に潜り込んでいたザックは,彼にプロレス学校まで連れて行ってもらうことになり,二人の旅が始まる.やがてエレノアが彼らに追いつくが,ザックの説得にエレノアが負け,3人連れの旅が始まるが….
物語としてはかなり突っ込みどころのある映画である.タイラーに損害を受けた漁師が彼を追ってきて,あたかも悪人のように描かれているが,彼らが何も悪くはないのは明白.しかしそんなことはどうでも良いのだ.6_20210912161701
タイラーは自分が運転していた事故で最愛の兄を失った過去を持つ.ザックは施設以外に身の置き所のない天涯孤独.エレノアは夫に先立たれている.この映画は,いずれも家族を持たず,心に傷を負った者同士のロードムービーなのだ.
ザックの純粋さと一途さに,タイラーもエレノアも引き込まれていくが,共感しないではいられない.彼らが行く,ノース・カロライナからジョージアに至る湿地帯の美しさも素晴らしい.広い空の下を行く帆かけの筏船のシーンは,まるで夢のようだ.バックに流れるカントリーソングの数々も素敵.5_20210912161701
映画の結末はファンタジー的ハッピーエンド,3人の旅は更に続くことを示唆して終わる.「友達は自分で選べる家族だ」というセリフが,耳に残った.1時間半ほどの映画だが,見て損は無し.ところで題名のピーナッツバター・ファルコンとは,ザックのリング・ネームである.
★★★★☆(★5個が満点)
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