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2021年12月に作成された記事

2021/12/21

番外 独断的歌舞伎感想文:十二月大歌舞伎第1部 伊達の十役

日記:2021年12月某日
歌舞伎座で「十二月大歌舞伎第1部」を見る.2112_kabukiza_tokupo1638278772692 四世鶴屋南北 作.奈河彰輔 補綴・演出,石川耕士 補綴・演出,市川猿翁 演出,市川猿之助 演出,三代猿之助四十八撰の内.「新版 伊達の十役(しんぱん だてのじゅうやく) 市川猿之助十役早替り相勤め申し候.序幕:足利家奥殿の場,同 床下の場.大詰.浄瑠璃 間書東路不器用(ちょっとがきあずまのふつつか)」.出演:乳母政岡,松ヶ枝節之助,仁木弾正,絹川与右衛門,足利頼兼,三浦屋女房,土手の道哲,高尾太夫の霊,腰元累,細川勝元(猿之助),八汐(巳之助),侍女澄の江/ねずみ(玉太郎),政岡一子千松(市川右近),妙林(弘太郎),渡辺外記左衛門(寿猿),松島(笑三郎),沖の井(笑也),妙珍(猿弥),渡辺民部之助(門之助),栄御前(中車).
「伊達の十役」は,狂言「伽蘿先代萩」を十役早変わりの芝居に書き直したもの,1999年に先代猿之助のものを見たのが最初で,その後2014年に市川染五郎(現・幸四郎)で見た.
今回はコロナ禍3部制のもとで2時間弱の上演なので,本来のものとは言い難い.それでも「足利家奥殿の場,同 床下の場」はじっくり時間をかけ,猿之助の乳母政岡が堪能できる.床下で松ヶ枝節之助になって登場し,早変わりで仁木弾正として花道を悠々と退場するところも素敵.
しかし後半となると,筋の紹介は狂言回しの妙林・妙珍に任せるが,ゆっくり芝居をする暇はなく踊りと殺陣でつなぐ早変わりショーとなった.これはいささか残念,何時かコロナが治まったら是非通し狂言で見てみたい.
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2021/12/17

番外 独断的歌舞伎感想文:十二月大歌舞伎 第二部 男女道成寺/ぢいさんばあさん

日記:2021年12月某日
歌舞伎座で「十二月大歌舞伎 第二部」を見る.2112_kabukiza_h_a9c5e4b9b4f2bcb15fe666cd
「一、男女道成寺(めおとどうじょうじ)」.出演:白拍子花子(勘九郎),白拍子桜子実は狂言師左近(尾上右近),強力不動坊(橘太郎),同 普文坊(吉之丞).森 鷗外 原作・宇野信夫 作・演出.「二、ぢいさんばあさん」.出演:美濃部伊織(勘九郎),下嶋甚右衛門(彦三郎),宮重久右衛門(歌昇),宮重久弥(尾上右近),久弥妻きく(鶴松),山田恵助(吉之丞),柳原小兵衛(坂東亀蔵),伊織妻るん(菊之助).
男女道成寺は,登場して舞う白拍子の一人が実は男の狂言師と判り,改めてそれぞれが踊りを披露するが,やがて二人は蛇の化身の本性を現すという踊り.右近・勘九郎が引き抜きを交え華やかな踊りを披露する.
「ぢいさんばあさん」は2002年以来10年ごとに見ている森鷗外原作の新歌舞伎.ふとした出来事から同僚を手にかけ,最愛の妻子と別れて謹慎他家預かりの身となった伊織が,37年後に旧宅で妻と再会する物語.
自分が70歳になって見るこの芝居が,これほど胸に迫るとは思ってもみなかった.特に旧宅の無事を喜び大樹となった桜に抱きつく伊織,るんと再会し,愛息の死と互いの苦労をいたわり合う場面に涙を禁じ得ない.伊織とるんは,2002年が勘三郎(当時勘九郎)と玉三郎,2012年は三津五郎と福助であった.この二人の伊織も今はない.「ぢいさんばあさん」は自分にとって特別な意味のある芝居となっている.
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2021/12/13

番外 独断的歌舞伎感想文:十二月大歌舞伎第3部 吉野山/信濃路紅葉鬼揃

日記:2021年12月某日
歌舞伎座で「十二月大歌舞伎第3部」を見る.Photo_20220130153101
第三部.「一、義経千本桜 吉野山(よしのやま)」.出演:佐藤忠信実は源九郎狐(松緑),静御前(七之助).「二、信濃路紅葉鬼揃(しなのじもみじのおにぞろい)」.出演:鬼女(玉三郎),平維茂(七之助),鬼女(橋之助),同(中村福之助),同(歌之助),同(左近),同(吉太朗),山神(松緑).
吉野山は台詞のない舞踊劇で,特に忠信の兄継信が義経の盾となって討死したくだりを踊る場面は,静御前が能登守のパートを,忠信が義経と継信のパートを踊り分け,誠に印象的.短い踊りながらドラマチックな展開で感銘を受けた.
信濃路紅葉鬼揃は,冒頭の緊張に満ちた鬼女たちの登場の場面から圧倒される.能の静謐な動きを踏まえた踊りはよく統率され,玉三郎と5人の鬼女たちの動きは人間ではないものの印象強く,惟茂が現れてからはあたかも蜘蛛が獲物を誘い込んでいく様に捉えていくさまが面白い.山神の登場後の最後の大立ち回りも華麗で,1時間の踊りがあっという間であった.
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