番外 独断的歌舞伎感想文:十二月大歌舞伎 第二部 男女道成寺/ぢいさんばあさん
日記:2021年12月某日
歌舞伎座で「十二月大歌舞伎 第二部」を見る.
「一、男女道成寺(めおとどうじょうじ)」.出演:白拍子花子(勘九郎),白拍子桜子実は狂言師左近(尾上右近),強力不動坊(橘太郎),同 普文坊(吉之丞).森 鷗外 原作・宇野信夫 作・演出.「二、ぢいさんばあさん」.出演:美濃部伊織(勘九郎),下嶋甚右衛門(彦三郎),宮重久右衛門(歌昇),宮重久弥(尾上右近),久弥妻きく(鶴松),山田恵助(吉之丞),柳原小兵衛(坂東亀蔵),伊織妻るん(菊之助).
男女道成寺は,登場して舞う白拍子の一人が実は男の狂言師と判り,改めてそれぞれが踊りを披露するが,やがて二人は蛇の化身の本性を現すという踊り.右近・勘九郎が引き抜きを交え華やかな踊りを披露する.
「ぢいさんばあさん」は2002年以来10年ごとに見ている森鷗外原作の新歌舞伎.ふとした出来事から同僚を手にかけ,最愛の妻子と別れて謹慎他家預かりの身となった伊織が,37年後に旧宅で妻と再会する物語.
自分が70歳になって見るこの芝居が,これほど胸に迫るとは思ってもみなかった.特に旧宅の無事を喜び大樹となった桜に抱きつく伊織,るんと再会し,愛息の死と互いの苦労をいたわり合う場面に涙を禁じ得ない.伊織とるんは,2002年が勘三郎(当時勘九郎)と玉三郎,2012年は三津五郎と福助であった.この二人の伊織も今はない.「ぢいさんばあさん」は自分にとって特別な意味のある芝居となっている.
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