独断的映画感想文:私は確信する
日記:2022年1月某日
映画「私は確信する」を見る. 2018年.監督:アントワーヌ・ランボー.
出演:マリナ・フォイス(ノラ),オリヴィエ・グルメ(デュポン=モレッティ弁護士),ローラン・リュカ(ジャック・ヴィギエ),ジャン・ベンギーギ(スピネル弁護士),フランソワ・フェネール(リキアルディ裁判長),フィリップ・ドルモワ(法務官(検察官)),フィリップ・ウシャン(オリヴィエ・デュランデ),インディア・エール(セヴェリーヌ),アルマンド・ブーランジェ(クレマンス・ヴィギエ). フランスで実際に起きた事件をもとにしたサスペンス劇.
ある日3人の子どもを残しスザンヌという女性が謎の失踪を遂げる.マスコミは夫で法学部教授のジャック・ヴィギエへの疑惑を書きたて,スザンヌの遺体もなく,物証もゼロなのにヴィギエは訴追される.一審は無罪となったが,検察は異例の控訴を行い,2審が始まることになった.すでに失踪から10年,19歳になった長女のクレマンスを息子の家庭教師に雇っている料理人・ノラは,ヴィギエの無罪を確信している. 2審の開始に危機感を持った彼女は,敏腕弁護士モレッティに自身が調べた事件の疑問点の資料を送り,弁護を依頼する.最初は渋っていたモレッティは,資料を読んで担当を決意,ノラに,1審の終盤で提出された事件関係者の通話記録250時間分を,分析するように求める.ノラは仕事と息子の世話の合間にその分析に没頭するが…. ノラの分析は最初からいくつかのヒットを放つ.通話にはスザンヌの愛人デュランデが,失踪直後からヴィギエを犯人とするキャンペーンを組織的に繰り広げようと,周辺に働きかける様子が記録されている.モレッティの弁論は好調に進み,ノラはますます分析に没頭するようになる.仕事や息子の世話にも身が入らなくなり,遂にノラはクビになる.息子との関係も危機的になっていく….
恐るべき事件である.何故遺体も物証もないのに検察はヴィギエの訴追に執着するのか.何故250時間もの通話記録は最後まで隠されていたのか.そもそも通話記録は日常的に警察が盗聴している結果なのではないか.
更に証言に立った捜査官は,ヴィギエへの憎悪を露わにするが,一方ではノラも次第にデュランデへの憎悪に捉えられていく.裁判の行方は予断を許さない.そういう意味で誠にサスペンスフルな手に汗握る法廷もの.但し結末は,論理的に明確な結論という訳ではない(ネタバレになるので結果は言わない). ノラの執着を演じるマリナ・フォイス,最終弁論の演技の見事さが際立つモレッティのオリヴィエ・グルメ,両者の演技が見ごたえあり.★★★★(★5個が満点)
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