番外:独断的歌舞伎感想文:二月大歌舞伎第3部 鬼次拍子舞/鼠小僧次郎吉
日記:2022年2月某日
歌舞伎座で「二月大歌舞伎第三部」を見る. 「一、鬼次拍子舞(おにじひょうしまい)」.出演:山樵実は長田太郎(芝翫),白拍子実は松の前(雀右衛門).河竹黙阿弥 作.「二、 鼠小紋春着雛形 鼠小僧次郎吉(ねずみこぞうじろきち)」.出演:稲葉幸蔵(菊之助),刀屋新助(巳之助救援・代役菊次),芸者お元(新悟),杉田娘おみつ(米吉),蜆売り三吉(丑之助),石垣伴作(吉之丞),左膳弟子左内(橘太郎),養母お熊(橘三郎),与之助(坂東亀蔵),早瀬弥十郎(彦三郎),本庄曾平次(権十郎),大黒屋抱え松山(雀右衛門),辻番与惣兵衛(歌六).
拍子舞は台詞のある踊りを言うらしい.芝翫・雀右衛門ともに美しく古風な踊りが印象的.
鼠小僧はスピーディーで現代風な物語.この芝居は「起承転結」で言えば,「承」と「転」の間で大変な激変がある.「承」で面目躍如となった鼠小僧だが,「転」では「承」の結果がすべて裏目に出て鼠小僧はのっぴきならない羽目になる.現代の不条理劇にも通じる状況だ.一方で登場人物はほぼすべてが鼠小僧とは血縁含めゆかりのある人物ばかり(黙阿弥ものですから),それが明らかになっていく「転」から「結」の展開はなかなか面白い.役者ではなんと言っても丑之助が子役と思えぬねちこい芝居で見応えあり.主役・菊之助と歌六がさすがの力量で印象的だった.2時間を超す舞台があっという間,見て損はなかった.18日の予約が休演でふいになり21日に再度チケットを獲得して見た甲斐あり.
人気ブログランキングへ
最近のコメント