独断的映画感想文:ジャスト6.5 闘いの証
日記:2022年2月某日
映画「ジャスト6.5 闘いの証」を見る. 2019年.監督・脚本:サイード・ルスタイ.
出演:ペイマン・モアディ(サマド),ナヴィド・モハマドザデー(ナセル),ファラッド・アスラニ(判事),パリナズ・イザディアール(エルハム). めったに見ることのないイラン映画.
麻薬汚染が広がるイラン,薬物対策チームの部長刑事・サマドは強硬な捜索を続けていく.卸元の捜索では売人に逃げられたが,土管置き場のホームレス狩りこみ等で逮捕した被疑者の尋問から,製造者と卸をつなぐ大物・ナセルが浮上する.ナセルの元婚約者の尋問でそのアジトを突き止めたチームは,その高級ペントハウスに突入,薬物服用で自殺を図ったナセルを逮捕するが…. 激しい会話のやり取りと心理戦,買収の誘い等が火花を散らすナセル等売人たちとサマドのチームの戦い.サマドも捜査過程で押収薬物が紛失した件で,判事の取り調べを受けている身,部下は自分の息子がナセルたちに拉致され殺されたとの疑いを持ち,ナセルへの感情的な対応を取る.警察チームの中でも確執があるのだ. 一方イランの家族社会の特徴も描かれる.捕まった障がい者の売人は,自分の服役を避けるため11歳の息子に身替りを命じ,判事はその状況を知ったうえで息子の量刑を短くする判決を出す.ナセルは家族・親戚の特に子どもを大事にしてきたと主張,自分が刑事の子を拉致・殺害したとの疑いを不名誉なことと受け止める. 映画はテンポよく,緊張感が維持され,サマド,ナセルを演じる俳優らはいずれも熱演.見て損はなし.邦題は,サマドが警察に入ったころの中毒者数100万人が,今や6.5倍に増えているというセリフから取られた.★★★★(★5個が満点)
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