番外:独断的歌舞伎感想文 2月大歌舞伎1部・2部:御浜御殿綱豊卿/石橋/春調娘七種/渡海屋・大物浦
日記:2022年2月某日
歌舞伎座2月大歌舞伎1部を見る.
真山青果 作・真山美保 演出.「一、元禄忠臣蔵(げんろくちゅうしんぐら) 御浜御殿綱豊卿」.徳川綱豊卿(梅玉),富森助右衛門(松緑),中臈お喜世(莟玉),上臈浦尾(歌女之丞),小谷甚内(松之助),新井勘解由(東蔵),御祐筆江島(魁春).「二、石橋(しゃっきょう)」.出演:獅子の精(錦之助),同(鷹之資),同(左近).
真山青果ものは元来好きではない.膨大なセリフ劇だし,自らの言葉に感激して涙ぐむあたり(綱豊卿と新井勘解由の会話)は全くいただけない.今回は松緑の富森助右衛門が,ニンに合って共感できた.石橋は鷹之資がコロナ感染で休演,錦之助・左近での踊りとなったが,左近奮闘,見事な踊りで感激.
その後歌舞伎座2月大歌舞伎2部を見る.
「一、春調娘七種(はるのしらべむすめななくさ)」.出演:曽我十郎(梅枝),静御前(千之助),曽我五郎(萬太郎).「二、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら) 渡海屋 大物浦 片岡仁左衛門一世一代にて相勤め申し候」.出演:渡海屋銀平実は新中納言知盛(仁左衛門),源義経(時蔵),女房お柳実は典侍の局(孝太郎),入江丹蔵(隼人),銀平娘お安実は安徳帝(小川大晴),相模五郎(又五郎),武蔵坊弁慶(左團次).
最初の踊りは梅枝が曽我の十郎で立ち役,千之助が静御前だが,これが美しい.若手3人の踊りが魅力的.渡海屋/大物浦は仁左衛門一世一代というだけあって素晴らしい雄渾な舞台.知盛が平家一門の中にあって,武人として安徳帝に仕えたということが,その凄惨な最後によって明確に描かれる.そのことが明らかにされる仁左衛門の渾身の舞台が,誠に印象的で心に残る.最後に弁慶の吹くほら貝と,その後の弁慶の花道の引っ込みも感銘的だった.
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