独断的映画感想文:ウォーデン 消えた死刑囚
日記:2022年3月某日
映画「ウォーデン 消えた死刑囚」を見る.
2019年.監督:ニマ・ジャヴィディ.
出演:ナヴィド・モハマドザデー(ヤヘド少佐),パリナズ・イザディアール(スーザン・カリミ)),セタレ・ペシャニ(アハマドの妻).
1960年代のイラン.王妃来訪の期日が迫り,突貫工事で空港拡張工事が行われる中,その工事範囲の刑務所が移転することになる.刑務所長ジャーヘッド少佐はその朝,立ち寄った上司から昇進と警察署長への栄転を告げられ,天にも昇る気持.
ところが移転先の刑務所から,死刑囚が1人行方不明との報告が入る.状況からその囚人アハマドが旧刑務所内にまだいると判断した少佐は,早速刑務所内をしらみつぶしに調べ,いくつかの手がかりを見出したもののどうしてもアハマドを発見できない.そこにソーシャルワーカーのカリミが来てアハマドの情報を提供,彼女はアハマドがその土地を取り上げたい村長の讒言で罪をでっちあげられた,という事情を話す.自分の昇進をふいに出来ない少佐は,必死の捜索を続けるが….
「ジャスト6.5 闘いの証」に続くイラン映画,出演も「ジャスト6.5 闘いの証」と同じナヴィド・モハマドザデーだ.工事の関係で夕刻までに移転を完了しなければならないという制約,忽然と消えた死刑囚の謎,誰が真実を言いだれが嘘をついているのかのミステリ,美貌のソーシャルワーカーと彼女に気のある少佐,これらが入り組んで進む物語の緊張が素晴らしい.
唐突に飛び出したアハマドが所外に逃亡したのを見たとの証言,それを裏付けるソーシャルワーカーの手がかり発見.少佐は自分の判断ミスで追跡の時間を空費したのかと愕然とする.その後ソーシャルワーカーの証言が偽証であることが判り,時間のないなか少佐は最後の賭けに出る.この終始予断を許さない展開が印象的.社会派ミステリとして見て損はなし.
★★★☆(★5個が満点).
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