独断的映画感想文:ハリエット
日記:2022年4月某日
映画「ハリエット」を見る.
2019年.監督:ケイシー・レモンズ.
出演:シンシア・エリヴォ(ハリエット・タブマン/ミンティ),レスリー・オドム・Jr(ウィリアム・スティル),ジョー・アルウィン(ギデオン・ブローダス),ジャネール・モネイ(マリー・ブキャナン),クラーク・ピータース(ベン・ロス),ヴァネッサ・ベル・キャロウェイ(リット・ロス),ヴォンディ・カーティス=ホール(グリーン牧師).
1849年メリーランド州のフローダス家の奴隷ミンティの夫は自由民.二人は自分たちの将来の子どもを自由民とするため,フローダス家の祖父が発行した書類をもとに,子どもの自由民としての承認を求めるが,主人はその書類を破り捨て,子どもが生まれたらそれは自分の奴隷だと宣言する.その後主人は急死,息子ギデオンは借金返済のためミンティを南部に売却しようと考える.
絶望したミンティは奴隷商人の来訪を察知し脱走を決意,追手の迫る中独りで100㎞以上を走破しペンシルベニア州境を突破,フィラデルフィアの反奴隷制協会にたどり着き保護される.ここで奴隷制度廃止運動家ウィリアム・スティルと出会ったミンティはハリエット・タブマンと名前を変え仕事を得て自立する.
その後奴隷制度廃止運動家たちの秘密組織“地下鉄道”の一員となったハリエットは、夫に会うべくメリーランド州に舞い戻る.しかし夫はハリエットが死んだと聞かされて再婚していた.ハリエットは兄弟・母親らを連れて再度州境を超える.ハリエットは“黒人たちのモーセ”と呼ばれる存在となるが,奴隷の逃亡で零落したギデオン・フローダスは復讐の鬼となり,州を越えて逃亡奴隷を逮捕できる逃亡奴隷法の助けを借りてハリエットを追及する….
事実に基づく物語.心身ともにたくましいハリエットを演じるシンシア・エリヴォの演技が見ごたえあり.ブロードウェイのスターでもある彼女は,この映画でも自身の通信手段として黒人霊歌を歌うシーンを自ら歌唱するが,その圧倒的な歌声は感銘的だ.
“地下鉄道”の活動で70名以上の奴隷を解放したハリエットは,南北戦争にも参加,黒人兵の軍を指揮して,逃亡してきた数百名の奴隷の保護に成功する.そのシーンも印象的だ.監督をはじめ製作陣は3名の女性が指揮していたというこの映画,一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点)
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