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2022年5月に作成された記事

2022/05/12

独断的映画感想文:海辺の家族たち

日記:2022年5月某日
映画「海辺の家族たち」を見る.1_20220519182501
2016年.監督:ロベール・ゲディギャン.
出演 アリアンヌ・アスカリッド(アンジェル),ジャン=ピエール・ダルッサン(ジョゼフ),ジェラール・メイラン(アルマン),ジャック・ブーデ(マルタン),アナイス・ドゥムースティエ(ヴェランジェール),ロバンソン・ステヴナン(バンジャマン),ヤン・トリゴー(イヴァン),ジュヌヴィエーヴ・ムニク(スザンヌ),フレッド・ユリス(モーリス),ディオク・コマ(士官).3_20220519182501
パリで活躍する女優アンジェルが,20年ぶりに故郷・マルセイユに近い漁村に帰ってくる.村で長らくレストランを営んでいた父が倒れたのだ.父の後をついでレストランを経営する長兄アルマン,失業中で若い婚約者ヴェランジェールと共に帰ってきている次兄ジョセフと,実家で久しぶりに語り合う.以前マルセイユでアンジェルの舞台を見て以来そのファンとなり,今では週末に劇を上演しているという漁師バンジャマンもやってくる.5_20220519182501
この漁村が別荘地としてひらけ始めたころ,父は庶民的なレストランを開業しそれをずっと守ってきた.近況を交換しこの後実家をどうするか,3人は話し始めるが解決すべき問題は多い.往時に比べすっかりさびれたこの村,年老いた父の世代.隣人のマルタン夫妻は家賃の支払にも窮し,息子がそれを援助しようと申し出るのを心苦しく思っている.アンジェルはかって仕事中に父に預けた一人娘が事故で亡くなり,そのことで夫とも別れたという過去があった.一人一人の辛い過去が明らかになる一方,バンジャマンは憧れのアンジェルに猛烈なアタックを開始するが….2_20220519182501
この後の人生をどうするのかがなかなか見えてこないのに,若いヴェランジェールやバンジャマンに対しては歳を感じざるを得ない兄妹たち.ところがある事件が起きて3人の気持ちが少しずつ切りかわっていく.他の状況は何も変わらないのに,3人は前向きに人生に向かい合うことになる.6_20220519182501
静かな漁村を背景に進むこの人生模様が,フランス映画らしくて素敵.監督と主演の2人がマルセイユ出身ということも,映画の雰囲気を良くしているようだ.海辺の様々な情景,古びているが優美な別荘の家々,谷にかかる高い石橋を夜昼渡っていく列車.これらを映すカメラも美しい.見て損はなし.
★★★★(★5個が満点)
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2022/05/10

独断的映画感想文:ジョジョ・ラビット

日記:2022年5月某日
映画「ジョジョ・ラビット」を見る.1_20220520205501
2019年.監督:タイカ・ワイティティ.
出演:ローマン・グリフィン・デイヴィス(ジョジョ),トーマシン・マッケンジー(エルサ),タイカ・ワイティティ(アドルフ),サム・ロックウェル(クレンツェンドルフ大尉),スカーレット・ヨハンソン(ロージー).2_20220520205501
ジョジョは10歳の少年.父はイタリアで軍隊勤務,姉は亡くなり母ロージーとの二人暮らし.時は第2次大戦末期のドイツ,ジョジョは自分で靴ひもも結べないが,あこがれのヒトラーユーゲントの合宿に参加することになる.想像の中の親友「アドルフ・ヒトラー」の激励を受け張り切るジョジョ,しかし上級生にウサギを殺せと命じられて出来ず,「アドルフ・ヒトラー」の叱咤で手榴弾の投擲に挑むが失敗し,顔と脚に大けがをする.ヒトラーユーゲントには参加できず,街でビラ張りなどの雑用をすることになる.3_20220520205501
そんなある日,ジョジョは自宅の姉の部屋から物音のするのに気付き,壁裏のスペースにユダヤ人の少女が隠れているのを発見する.ユダヤ人には角があると教えられていたジョジョは吃驚するが,少女エルサはこのことを口外したらロージーとジョジョもただでは済まないと脅し,ジョジョもユダヤ人観察のため現状維持に同意する.一方ジョジョは街でロージーが反ナチのビラをひそかに配っているのを目撃する.ロージーの留守中にゲシュタポが訪れ,家探しを開始するが….4_20220520205501
愛国少年ジョジョが,ユダヤ人少女と出会い語らう中で成長していく方向は,いつかヒトラーユーゲントとは異なる方向に行ってしまう.そのことを通じて戦争とナチズムの愚かしさをあぶりだしていく物語.コメディタッチで描かれるが,戦争の現実描写には容赦はない.5_20220520205501
ラストシーンで米軍が雪崩れ込みナチスが崩壊していく中,手に手を取って駆けていくジョジョとエルサの姿の後味が良い.劇中で流れる音楽も軽快.見て損はなし.6_20220520205501
★★★☆(★5個が満点)
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2022/05/05

独断的映画感想文:ファーザー

日記:2022年5月某日
映画「ファーザー」を見る.
2020年.監督:フロリアン・ゼレール.出演:アンソニー・ホプキンス(アンソニー),オリヴィア・コールマン(アン),マーク・ゲイティス(男),ルーファス・シーウェル(ポール),イモージェン・プーツ(ローラ),オリヴィア・ウィリアムズ(女).1_20220511160401
アンソニーは引退した老人,広々としたロンドンの自分のフラットに住み趣味の音楽を聴く,悠々自適のの暮らしだ.介護に来た女性と衝突し彼女は辞めてしまって,今は長女のアンが世話に通って来る.アンは次の介護人ローラを採用しようとするが,自分は誰の世話も必要ないと主張するアンソニー.一方アンは近々再婚してパリに住むようになると言い出す.2_20220511160401
ところがある朝,アンに似てはいるが別の女性が自分がアンだと言ってアンソニーの世話に来る.フラットの様子もいつもと微妙に違うようだ.居間にはポールという男がいて愛想よく話しかけてくるが,アンソニーが自分のフラットで何をしているのだと聞くと,ここは僕のフラットですと答える.3_20220511160401
別の日にはいつものアンが戻ってくるが,以前いたポールとは別の男がポールと名乗って,フラットに同居している.新しい介護人のローラが働き始めるが,彼女は次女のルーシーに似ている.しかしそう言えばルーシーとは長い間会っていなかった….5_20220511160401
まるでホラー映画かミステリーのような展開で進行する映画,アンソニー・ホプキンスの饒舌なセリフが状況の違和感を増幅し,緊張感を高めていく.もともとは舞台劇だった作品を脚本を作ったフロリアン・ゼレールが監督して映画化した.物語の展開につれ,変遷していく周囲の状況は,認知症であるアンソニーの目から見た受けいれ難い変化であることが判ってくるが,それでは実際には何が起こっているかは,最後の最後まで判然としない.ラストシーンで子どもに帰って行くアンソニーの姿には,暗然とした悲しみを禁じ得なかった.4_20220511160401
アンソニーが鑑賞している歌曲,特に「真珠取り」の哀愁を帯びたアリアが美しく,耳について離れない.見事な映画,一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点)
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