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2022/05/05

独断的映画感想文:ファーザー

日記:2022年5月某日
映画「ファーザー」を見る.
2020年.監督:フロリアン・ゼレール.出演:アンソニー・ホプキンス(アンソニー),オリヴィア・コールマン(アン),マーク・ゲイティス(男),ルーファス・シーウェル(ポール),イモージェン・プーツ(ローラ),オリヴィア・ウィリアムズ(女).1_20220511160401
アンソニーは引退した老人,広々としたロンドンの自分のフラットに住み趣味の音楽を聴く,悠々自適のの暮らしだ.介護に来た女性と衝突し彼女は辞めてしまって,今は長女のアンが世話に通って来る.アンは次の介護人ローラを採用しようとするが,自分は誰の世話も必要ないと主張するアンソニー.一方アンは近々再婚してパリに住むようになると言い出す.2_20220511160401
ところがある朝,アンに似てはいるが別の女性が自分がアンだと言ってアンソニーの世話に来る.フラットの様子もいつもと微妙に違うようだ.居間にはポールという男がいて愛想よく話しかけてくるが,アンソニーが自分のフラットで何をしているのだと聞くと,ここは僕のフラットですと答える.3_20220511160401
別の日にはいつものアンが戻ってくるが,以前いたポールとは別の男がポールと名乗って,フラットに同居している.新しい介護人のローラが働き始めるが,彼女は次女のルーシーに似ている.しかしそう言えばルーシーとは長い間会っていなかった….5_20220511160401
まるでホラー映画かミステリーのような展開で進行する映画,アンソニー・ホプキンスの饒舌なセリフが状況の違和感を増幅し,緊張感を高めていく.もともとは舞台劇だった作品を脚本を作ったフロリアン・ゼレールが監督して映画化した.物語の展開につれ,変遷していく周囲の状況は,認知症であるアンソニーの目から見た受けいれ難い変化であることが判ってくるが,それでは実際には何が起こっているかは,最後の最後まで判然としない.ラストシーンで子どもに帰って行くアンソニーの姿には,暗然とした悲しみを禁じ得なかった.4_20220511160401
アンソニーが鑑賞している歌曲,特に「真珠取り」の哀愁を帯びたアリアが美しく,耳について離れない.見事な映画,一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点)
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