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2022/06/24

独断的映画感想文:マルモイ ことばあつめ

日記:2022年6月某日
映画「マルモイ ことばあつめ」を見る.1_20220625173601
2019年.監督・脚本:オム・ユナ.
出演:ユ・ヘジン(キム・パンス),ユン・ゲサン(リュ・ジョンファン),キム・ホンパ(チョ先生).3_20220625173701
1941年京城,映画館の呼び込みキム・パンスは,仲間が館内でスリを働いたかどでクビになる.中学生の息子ドクジンと6歳の娘スンヒを育てるやもめのパンスは,息子の学費を工面するため,街角でリュ・ジョンファンの鞄を奪い逃走する.ところが帰宅するとリュ・ジョンファンが待っていた.リュ・ジョンファンはドクジンの通う中学の理事長の息子,逃げる時パンスが落とした学費の督促状から足がついたのだ.2_20220625173601
リュ・ジョンファンは朝鮮語学会の代表,鞄の中身は大事な資料だった.キム・パンスは刑務所で同房だったチョ先生のとりなしで,朝鮮語学会の雑用係となる.朝鮮語学会は朝鮮語大辞典の編纂中,現在は各地の方言を集め標準語を確定する作業中だが,朝鮮語の使用禁止,創氏改名の強制が行われる中,辞書編纂自体が朝鮮総督府の弾圧にさらされていた.4_20220625173701
お調子者で字も読めないパンスだったが,辞書編集者たちの必死の取り組みに,自らも協力するようになる.一方ドクジンはそれがばれたらパンスは刑務所へ,ドクジンは徴兵され,幼いスンヒはどうなるのかと心配が尽きない….5_20220625173701
朝鮮語大辞典編纂を巡る物語.この映画の魅力は,第一には信念あるインテリだが世の中にはやや疎いリュ・ジョンファン,教養はなく喧嘩っ早いが機知に富み実行力のあるキム・パンス他,多士済々の登場人物にある.物語もユーモアに富み,テンポよく困難な時代の彼らの活躍を描いていく.6_20220625173601
弾圧は厳しく,映画の中盤では秘密の編集所が当局に摘発され,10年かけて集めた資料がすべて焼却されるという事態になるが,彼らはなお挫けない.大きな犠牲の後,1947年に至って朝鮮語大辞典は完成する.その辞典を覗きこむ今は教師となったドクジンと中学生となったスンヒの光景で映画は終わる.見ごたえある映画.
★★★☆(★5個が満点).
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