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2022/07/12

独断的映画感想文:つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語

日記:2022年7月某日
映画「つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語」を見る.1_20220716073101
2012年.監督:行定勲.
出演:阿部寛(松生春二),小泉今日子(石田環希),野波麻帆(橋本湊),風吹ジュン(橋川サキ子),真木よう子(池田百々子),忽那汐里(山田麻千子),大竹しのぶ(山田早千子),羽場裕一(石田行彦),荻野目慶子(伝馬愛子),岸谷五朗(太田),渡辺いっけい(常盤社長),永山絢斗(茅原優),奥田瑛二(安藤慎二),田畑智子(芳泉杏子).3_20220716073101
映画の冒頭,自転車で急坂を登っていく男・松生.妻・艶は危篤状態,松尾は艶を包丁で殺そうとするがなし得ず,帰宅して住所録を探す.艶の関わった男たちに連絡を取るために.という訳で始まる艶を巡る人々の物語.
最初に連絡を受けた小説家の石田行彦は,12歳だった艶を犯したことを題材にした小説で賞を受賞するが,授賞式は愛人愛子と妻環希が乱闘する修羅場になる.不動産会社の営業・橋本湊は,社長と不倫している一方で扱っている物件のオーナー・太田と寝ることになる.太田にも連絡が来るが,太田は24年前に艶と別れた最初の夫だった.太田は湊を置いて大島に出かけていく.
パソコンに艶宛ての卑猥な多数のメールを残していた橋川は1年前に自殺していた.メールの連絡を受けた妻・サキ子は大島に来て松生と会う.島内で艶に追い回されていた若者・優は,自分の子どもだという光を連れて現れた元カノと会う.今の恋人百々子は,艶をひたすら愛する松生を好ましく思う.大学生山田麻衣子は母一人子一人の生活.父は昔愛人を作って出奔した.それでも父の写真を飾り続ける母が理解できない….2_20220716073101
艶は結局登場せず,ベッドに寝る姿が映るのみ.5編のエピソードで構成する艶の物語だが,かかわった人々のその後の人生,特に松尾の艶との人生の決着とその再生を描く映画と言ってよい.
それぞれのエピソードは手練れの俳優を得てそれなりに面白い.ただ各エピソードの相互の関係が平面的で,もう少し立体的な関係で描かれても面白かったかもしれない.俳優ではさすがに大竹しのぶが存在感があって,彼女と忽那汐里が演じたエピソードは一番見応えがあった.阿部寛は松生の鬼気迫る行動を好演.松生が潰れたレストランの自宅から病院に自転車で通う急坂のシーンは繰り返され,ある時は風吹ジュンを荷台に乗せて坂を上る.阿部寛の脚力畏るべし.4_20220716073101
ラストシーンの艶の通夜,棺を覗きこむ3人のシーンは,それまでの嵐がおさまって月の光が差し込んだような穏やかさで,印象的だった.見て損はなし.R-15指定だが,倫理的にはともかく映像的には全く過激なシーンはないので,ご安心を.R-15指定はどうも映画のセールス臭いな.
★★★☆(★5個が満点).
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