独断的映画感想文:馬上の二人
日記:2022年8月某日
映画「馬上の二人」を見る.
1961年.監督:ジョン・フォード.
出演:ジェームズ・スチュワート(マケーブ保安官),リチャード・ウィドマーク(ゲイリー中尉),リンダ・クリスタル(エレナ),シャーリー・ジョーンズ(マーティ),アンディ・ディヴァイン(ポージー軍曹),ジョン・マッキンタイア(フレイザー少佐).
1880年,テキサス州タスコサの保安官マケーブは,旧友のゲイリー中尉から60㎞離れたグランド砦に赴くよう求められる.グランド砦にはコマンチ族に子弟を拉致された開拓者が集まっており,司令官フレーザー少佐はコマンチ族と取引経験のあるマケーブに,拉致者の取戻しを依頼する.
マケーブは気が進まなかったが,開拓者の中のリングルが,14年前に拉致された我が子を探す後妻のため,17歳くらいの少年がいたら誰でもいいから1000ドル出すと持ち掛けマケーブは引き受ける.ゲイリー中尉は開拓者の中のマーティと親しくなるが,彼女は弟を拉致されていた.
マケーブはゲイリー中尉とともにコマンチの集落に赴く.魅力的な商品が奏効して酋長クワナと話は成立,マケーブは17歳くらいの少年ウルフと,メキシコから拉致されていたスペイン系の女性エレナを連れ帰るが….
重い題材を扱う,異色の西部劇である.コマンチとして育てられたウルフは英語も忘れ暴れまわり,子どもを拉致された親たちは,リングルも含め誰も引き取ろうとしない.一方コマンチの青年の妻として5年間を過ごしたエレナは,街の婦人たちから蔑みの目で見られ身の置き所がない.
やがて不幸な事件が起き,白人たちのエゴと差別意識が剥きだしになる事態に発展する.この物語を緩急自在に描いていくジョン・フォードの力はたいしたものだ.
苦い結末だが,金のために生きていると思われたマケーブが,男気を発揮するラストシーンが救い.気楽なエンタテインメントではないが,見て損はなし.
★★★★(★5個が満点).
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