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2022/08/26

独断的映画感想文:ペイン・アンド・グローリー

日記:2022年8月某日
映画「ペイン・アンド・グローリー」を見る.1_20220827174101
2019年.監督・脚本:ペドロ・アルモドバル.
出演:アントニオ・バンデラス(サルバドール),アシエル・エチェアンディア(アルベルト),レオナルド・スバラーリャ(フェデリコ),ノラ・ナバス(メルセデス),フリエタ・セラーノ(年老いたハシンタ),ペネロペ・クルス(若いころのハシンタ).3_20220827174101
映画監督のサルバドールは背中の痛みや喘息等の持病を抱え,仕事の意欲を失っていた.32年前の自作が復刻上映されることになり,プレゼンターを依頼されたサルバドールは,撮影時に喧嘩をして疎遠になっていた主演俳優・アルベルトを訪ねる.アルベルトの家でヘロインを試したサルバドールは,子どもの頃の母・ハシンタの思い出に浸る.姑と折り合いの悪かったハシンタのために夫が見つけた家は洞窟を利用した家,ハシンタは呆れかえるがサルバドールは大喜びする.6_20220827174101
その夜アルベルトがサルバドールの家を訪問,アルベルトはサルバドールの脚本「中毒」の下書きを読み,自分に演じさせてくれと頼んだ.サルバドールは街頭でヘロインを買いまた過去の思い出に浸る.子どもの頃から本が好きだったサルバドール,街中で手紙の代筆をしてくれと左官工のエドアルドに頼まれる.ハシンタは,息子が字をただで教えるから,住まいの壁を補修してくれとエドアルドに依頼する.
サルバドールの若き日の男性との恋愛を内容とする「中毒」は,アルベルトの独り芝居で上演,成功する.観客席にいたフェデリコという男が終演後アルベルトの楽屋を訪れ,自分が今の芝居に登場したサルバドールの相手だと打ち明けた.その夜,サルバドールはフェデリコと再会する….5_20220827174101
久しぶりに見たペドロ・アルモドバルの作品.痛みに打ちひしがれ自信を失った映画監督,旧作の復刻をきっかけに古い仲間と再会したことが,過去を蘇らせ自身の再生につながる.4_20220827174101
現在と過去の映像が交互に進行するが,少年時代の洞窟の家と現代のマドリードの対比が鮮やかだ.特に現代の映像では,この監督らしい原色のデザインやアート写真のようなショットが至る所にあしらわれ,監督の健在ぶりが窺える(この人は僕と同い年なのだ).作品の後半に次々と解きほぐされていく,子供時代の男性への思慕や長じてからの母親との確執,それが昇華されていく過程が印象的だ.アントニオ・バンデラスの演技も素晴らしい.ラストシーンも洒落ている.見て損はなし.
★★★★(★5個が満点).
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