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2022/10/11

独断的映画感想文:鑓の権三

日記:2022年10月某日
映画「鑓の権三」を見る.1_20221121164601
1986年.監督:篠田正浩,脚色:富岡多恵子,原作:近松門左衛門.
出演: 郷ひろみ(笹野権三),岩下志麻(市之進女房・おさゐ),火野正平(川側伴之丞),田中美佐子(伴之丞妹・お雪),加藤治子(お雪の乳母),津村隆(浅香市之進),水島かおり(市之進娘・お菊),嶋英二(市之進伜・虎次郎),浅川奈月(市之進娘・お捨),大滝秀治(岩木忠太兵衛),三宅邦子(忠太兵衛女房),河原崎長一郎(忠太兵衛伜・甚平),不破万作(川側家下男・波介),竹中直人(権三の同僚・文右衛門),浜村純(道具屋の主人),小沢昭一(船頭).
元禄時代の松江藩.小姓・笹野権三は槍の名手にして茶道もたしなむ美貌の青年.同僚の川側伴之丞の妹・お雪と言いかわした仲だが,兄伴之丞は権左へのライバル心からそれを許さない.茶道の筆頭指南・浅香市之進は江戸詰め,留守を預かる妻おさゐは,14歳の娘お菊の婿に権三を望んでいた.3_20221121164601
藩主の世継ぎ誕生に伴い,祝賀として茶道の極意である「真の台子」が開催されることとなる.市之進に代わって「真の台子」は権三か伴之丞が取り仕切ることになる.権三はおさゐを訪れ,「真の台子」の伝授を願い出る.お菊と結婚し婿となれば,一子相伝として伝授は可能と伝えるおさゐ,権三は結婚を承知し,その深夜伝授のためおさゐのもとを訪れる.
しかし権三の帯にお雪の家紋の縫い取りを見たおさゐは逆上,権三の帯を剥ぎ取り自分の帯とともに庭に投げ出すが,色仕掛けでおさゐを篭絡しようと庭に潜んでいた伴之丞が,不義の証拠と叫びその帯を持ち去った….
その後2人は逃亡し,市乃進は女敵(めがたき)討ちのためその後を追う.脚本は,近松門左衛門の浄瑠璃『鑓の権三重帷子』をもとに富岡多恵子が執筆.理不尽な物語を,篠田監督が丁寧に美しく描く.2_20221121164601
俳優たちもそれぞれに淡々と熱演,岩下志麻の浄瑠璃人形のように思いつめた表情が印象的だった.独り竹中直人が,画面の調子を狂わす怪演で興醒め.松江城下や京都洛中の描写も美しく,見応えあり.
★★★☆(★5個が満点).
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