独断的映画感想文:マイ・ブロークン・マリコ
日記:2022年10月某日
映画「マイ・ブロークン・マリコ」を見る.
2022年.監督・脚本:タナダユキ.
出演:永野芽郁(シイノトモヨ),奈緒(イカガワマリコ),窪田正孝(マキオ),尾美としのり(マリコの実父),吉田羊(マリコの実父の後添い).
ブラック企業に勤めるシイノがラーメン屋で見たニュースは,小学生からの無二の親友マリコの自殺を伝えるものだった.マリコの遺体はすでに親に引き取られ荼毘に付されていた.実父にはDVを受け,実母はマリコと実父の関係を嫌って蒸発,社会人になってからはDV男と恋仲になってはボロボロにされていたマリコ.幾度もその危急を救い,身を挺してDV男と戦ってきたシイノ,自身も不良娘であるシイノの唯一の親友マリコが,自分に相談もなく自殺し今その骨はDV実父のもとにある.
決意したシイノは武装してマリコの実家に侵入,実父の面前からマリコのお骨を奪い取り窓から脱出する.マリコが生前行ってみたいと言っていた「まりがおか岬」への,シイノとマリコの旅が始まる….
マリコとの思い出を挟みながら進むロードムービー.マリコに頼られることに頼り切っていたシイノの喪失感の爆発に,激しく心を揺さぶられる.直情径行やさぐれOLのシイノが愛おしい.まりがおか岬で巻き込まれ親身にシイノの世話をするマキオも,複雑な過去を持つらしくおだやかで魅力的だ.
俳優たちがいずれも好演,タナダユキ監督がふとさしはさむユーモアが,重いプロットの中で印象的だ.エピローグで,結局元のブラック企業で働くシイノ.何も変わっていない様で,最後にマリコの継母から届いたマリコの最期の手紙を読むシイノが,ちょっと笑うラストシーンが良かった.
★★★★(★5個が満点).
人気ブログランキングへ
コメント