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2022/12/01

独断的映画感想文:ザリガニの鳴くところ

日記:2022年12月某日
映画「ザリガニの鳴くところ」を見る.1_20221205174101
2022年.監督:オリヴィア・ニューマン.製作:リース・ウィザースプーン/ローレン・ノイスタッター.
出演:デイジー・エドガー=ジョーンズ(カイア),テイラー・ジョン・スミス(テイト),ハリス・ディキンソン(チェイス),マイケル・ハイアット,スターリング・メイサー・Jr,デヴィッド・ストラザーン(トム).2_20221205174101
1969年,ノースカロライナの湿地帯で,裕福な家庭の青年チェイスが死体で発見される.死因は近くに立つ火の見やぐらからの転落死とされ,事故・自殺・他殺が判然としない中,湿地帯に一人で住む女性カイアが犯人として逮捕される.カイアは街の人々から「湿地の娘」と呼ばれ異端視されていた.唯一彼女を知るのは,彼女が買い物をする店の黒人店主夫婦ジャンピンとメイベル,引退弁護士のトムのみ.トムの弁護で裁判が進む中,彼女の驚くべき半生が明らかになる.5_20221205174101
1950年代半ば,カイアは両親と4人の姉兄とともに暮らしていた.しかし父のDVが激しくなり,ついに母親は家を出てしまう.続いて姉二人,兄たちも次々と家を出,父とカイアの二人の生活となった.7歳となったカイアはジャンピンの勧めで小学校に行ってみるが,裸足で汚く臭いと苛められ,学校には二度と行かなかった.その数年後,父も家を出て行方不明となる.カイアは毎日ムール貝を採ってジャンピンの店に納め,代わりに生活必需品を受け取って一人で暮らしを立てる.その合間に,カイアは湿地帯の花や樹々,貝殻や虫や鳥たちを精密にスケッチするようになる.6_20221205174101
14歳の頃,森で出会った青年テイトは兄ジョディの友人,カイアは高校生のテイトと付き合うようになる.彼から読み書きを教わり図書館の本を読めるようになったカイア,テイトとカイアは愛し合うようになる.しかしテイトは父から「湿地の娘」と付き合わないよう警告を受ける.テイトは大学に進学することが決まり,その年の独立記念日に戻ってくると約束して旅立って行った.テイトはその時,カイアに動植物のスケッチと彼女の文章を本にするよう勧め,出版社の宛先をメモにして置いて行く.しかし独立記念日の日,テイトは帰ってこなかった….3_20221205174101
ディーリア・オーエンズのベストセラー小説の映画化,原作は未読.この5年後後,カイアは裕福な青年チェイスの誘いに応じつきあうようになる.一方,自分の書き溜めたスケッチと文章を出版社に送り,本にすることに成功する.その印税で彼女は未納の税金を払い,自宅と周辺の土地の所有権を確保した.出版した本を目にした兄のジョディとも再会した.しかしチェイスはカイアの他に婚約者がいて,カイアと争いになると暴力をふるい,更に彼女の自宅を荒らす行為に出たのだった.
映画は裁判の展開とカイアの過去を交互に描きながら進む.原作自体がかなり数奇な物語で,映画で描くときにいささか違和感や非現実感があるのは,否めない.しかしそんなことはどうでも宜しい.4_20221205174101
ノースカロライナの湿地帯の圧倒的な自然,独りでたくましく生きる少女カイアの美しさ,カイアを支えるジャンピンとメイベルの情愛,それらに引き込まれ最後まで一息に見た.主演のデイジー・エドガー=ジョーンズの存在感が素晴らしい.マイケル・ダナの音楽,テイラー・スイフトの主題歌も素敵だ.一見の価値あり.
★★★★☆(★5個が満点).


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