独断的映画感想文:ローズメイカー 奇跡のバラ
日記:2023年2月某日
映画「ローズメイカー 奇跡のバラ」を見る.
2020年.監督:ピエール・ピノー.
出演:カトリーヌ・フロ(エヴ),メラン・オメルタ(フレッド),マリー・プチョー(ナデージュ),オリヴィア・コート(ヴェラ),ファッシャ・ブヤメッド(サミール),ヴァンサン・ドゥディエンヌ(ラマルゼル).
エヴは個人薔薇園を経営している.育種家としての実力・名声は揺るぎないが,バラ園としての経営は大手に押されピンチを迎えている.今年もコンクールでは賞を取れず破産は目前.大手のラマルゼルの社長は彼女を育種家としてスカウトしようと声をかけてきているが,ラマルゼルの経営方針を商業主義と見る彼女は,頑として首肯せず破産したら薔薇園は閉めると宣言している.
父の代からエヴと共に働いているヴェラは,見かねて職業訓練所から3人を雇い入れる.いずれも給料は安いが園芸は全くの素人,フレッドは更生中の犯罪者,ナデーシュは極端に内気,サミールはずっと定職に着けていない50歳.彼らとともにエヴは起死回生の賭けに打って出るが….
こういう設定で始まり最後にはハッピーエンドに終わる,物語としてはべたな映画.更にエヴは新種の交配のためフレッドを使って非合法的手段に訴えるという一幕もある.エヴは人間的には傲岸不遜で共感できず,エヴが商業主義と批判するラマルゼルの社長は,当たり前の商業主義をしているだけで非の打ちどころのない人物だ.
こういう状況で当初は主人公には全く共感できない映画の展開なのだが,追い詰められたエヴが同じく人生で追い詰められている3人とヴェラと力を合わせ,苦境を切り開いていく過程でエヴも他の人たちもどんどん変わっていく.特にフレッドの変遷が印象的だ.フランス映画ってこういう展開のドラマがうまいような気がする.
最後のどんでん返しは全くの偶然からエヴがコンクールに優勝するという展開なのだが,まあ何となく納得させられるのも監督の力のうちか.美しいバラの花を楽しめる映画.
★★★☆(★5個が満点).
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