独断的映画感想文:大人の事情
日記:2023年3月某日
映画「大人の事情」を見る.
2016年.監督:パオロ・ジェノベーゼ.
出演:ジュゼッペ・バッティストン(Peppe),アルバ・ロルヴァケル(Bianca),ヴァレリオ・マスタンドレア(Lele),アンナ・フォッリエッタ(Carlotta),マルコ・ジャリーニ(Rocco),エドアルド・レオ(Cosimo),カシア・スムトゥアニク(Eva).
皆既月食があるという晩,ロッコのマンションに5人の友人が集まる.コジモとビアンカは新婚,レレとカルロッタはまだ幼い子供とレレの母親と暮らしているが,夫婦は倦怠期.ペペは恋人に振られたと言って一人で来た.ロッコは外科医で妻エヴァはカウンセラーだが16歳の娘は反抗期だ.
夕食の四方山話の中で,エヴァの提案で,食事中にかかってきたメールや電話を,オープンにすることになる.メールは読み上げられ,電話はスピーカーに切り替えるというルール.和やかに始まったゲームは,しかし月食の進行とともに笑えない事実が次々に明るみに出てくることになった….
舞台は最後までロッコのマンションの中,7人の登場人物がバレかけたマズい事実を隠すために四苦八苦・悪戦苦闘する.状況は次第に洒落では済まない深刻なものになっていき,彼らの人間関係は破綻の崖っぷちに.コメディとして笑って見ていた観客も,固唾をのむ展開となる.この状況はどう着地可能なのか?
イタリア人らしい直截で辛辣な言葉が機関銃のように飛び交い,隠されていた事実が思わぬことから露わになる過程が見応えたっぷり.本作は国内外の映画祭で多数の映画賞を取った他,欧米・アジア・ロシア・中国・イスラム系の18か国でリメイクされており,この手の設定の面白さを浮き彫りにしている.一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点)
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