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2023/05/05

独断的映画感想文:せかいのおきく

日記:2023年5月某日
テアトル新宿で映画「せかいのおきく」を見る.7_20230508222701 2023年.監督・脚本:阪本順治.
出演:黒木華(松村きく),寛一郎(中次),池松壮亮(矢亮),眞木蔵人(孝順),佐藤浩市(松村源兵衛),石橋蓮司(孫七).1_20230508222701 安政から万延へと動く江戸の裏長屋.主家の財政の不正を糺し浪々の身となった松村源兵衛が娘おきくと共に住む.おきくは寺で子どもたちに読み書きを教え生計を立てている.
おきくは長屋に汲み取りに来る汚わい屋矢亮の相棒,中次を憎からず思っているが,武家の娘としてそれを伝えることはできない.源兵衛のもとに主家からの呼び出しがあり,源兵衛は3人の刺客と立ち会って斬殺された.気付いて駆けつけたおきくは喉を斬られ,命はとりとめるが声を失う.
長屋の人々の助けで元気になったおきくは,寺の和尚・小僧の助けを得て寺子屋に復帰する.中次への思いは募るが,読み書きのできない中次に思いは伝えられない….
2_20230508222701 裏長屋や汚わい屋という最下層の暮らしの詳細な描写が興味深い.俳優陣は充実,特に黒木華,寛一郎,池松壮亮が魅力的.中次の長屋を訪ねていったおきくが,身振りで事情を伝えるが中次には理解できず,それでも手を取り合う二人のシーンが胸を打つ.
5_20230508222701 日本人がせかいという概念を共有するに至った安政年間,声を失ったことで自分のせかいを切り開いたおきく,おきくを知ったことで読み書きに取り組みせかいに飛び出そうとする中次・矢亮たちの,革命的青春物語.6_20230508222701 硬直した武家の世界と助け合う庶民の暮らしを対照的に描く視線,低い身分をさげすまされながらも元気一杯の矢亮・中次への視線,お菊へのあたたかい視線等,監督の人間味が感じられる映画.一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点).
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