独断的映画感想文:土を喰らう十二ヵ月
日記:2023年7月某日
映画「土を喰らう十二ヵ月」を見る.
2022年.監督:中江裕司.
出演:沢田研二(ツトム),松たか子(真知子),西田尚美(美香),尾美としのり(隆),瀧川鯉八(写真屋),檀ふみ(文子),火野正平(大工),奈良岡朋子(チエ).
映画の冒頭,軽快なジャズとともに飛ばしてゆく車,車は雪国に入りとある民家に到着,下りた真知子は民家に上がってツトムのもてなしを受ける.小説家のツトムは信州の山あいの村に住み暮らす.13年前に妻を亡くしたが,まだそのお骨は墓に収めていない.少年時代に寺の小僧だった時習い覚えた精進料理を,地元の食材で作って食べるのが楽しみ.編集者の真知子は年の離れた恋人で食いしん坊,ツトムの作った料理を食べるのが大好きだ.
近くに住む亡妻の母チエさんとの交流,チエさんは味噌づくりの名手で,ツトムはもっぱらチエさんにもらう味噌を常食としている.近所の大工とも食のつながりで懇意である.チエが亡くなって,息子・隆の連れ合い・美香は葬儀をツトムに丸投げしてくる.筋違いとは思いながら,ツトムはチエの葬儀を自宅で行い,通夜の振舞を真知子の助けを借りてすべて準備することになった….
ツトムの暮らしを,二十四節気に従い描いていく映画.ゆっくりしたテンポでツトムや周辺のひとたちの暮らしを描く.その映像や周囲の自然が美しく心がのどかになる.ツトムを演じる沢田研二のおだやかな演技もナレーションの声も,映画によく合って魅力的だ.これが遺作となった奈良岡朋子が美しい.俳優たちには生活感があまりないから,映画としては寓話的な感じはあるが,土井善晴先生監修のお料理はすべてリアルに美味しそう.楽しい映画だった.
★★★☆(★5個が満点).
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