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2023/08/12

独断的映画感想文:ゴヤの名画と優しい泥棒

日記:2023年8月某日
映画「ゴヤの名画と優しい泥棒」を見る.1_20230813163001
2020年.監督:ロジャー・ミッシェル.
出演:ジム・ブロードベント(ケンプトン・バントン),ヘレン・ミレン(ドロシー・バントン),フィオン・ホワイトヘッド(ジャッキー・バントン),アンナ・マックスウェル・マーティン(ミセス・ゴウリング),マシュー・グード(ジェレミー・ハチンソン)),ジャック・バンデイラ(ケニー・バントン),シャーロット・スペンサー(パメラ).2_20230813163001
1961年,ニューカッスル.ケンプトンは正義感の強い皮肉屋の老人.BBCの視聴に有料の許可証が必要な事態に怒り,BBCのみが見えないよう改造したテレビを盾に支払いを拒否するが,13日間の収監という憂き目にあう.
ケンプトンはかって娘マリアンヌを交通事故で亡くし,その悲しみを題材に幾つも戯曲を書き,あちこちに売り込んでいる.タクシーの運転手をしていたが,困窮者のタクシー料金を勝手に免除したことがばれ,クビになる.家計は妻ドロシーが家政婦をして支えている.ドロシーは常識人,ケンプトンの行動にはついて行けず,長男のケニーが人妻のパメラと同棲しているのも気に入らない.3_20230813163001
おりしもイギリス政府はゴヤの肖像画「ウェリントン公爵」を落札し,ナショナル・ギャラリーで公開した.14万ポンドという落札額に,その金があれば多くの人がBBCを無料で見れる,と憤慨するケンプトン.ある晩,「ウェリントン公爵」は盗まれた.警察は専門集団の犯行と色めき立つ.ケンプトンはその絵を次男ジャッキーの手を借りて,自室の洋箪笥の裏に隠す.
ケンプトンはこの絵を返す代わりにBBCの料金を無料にせよと当局に手紙を出すが,なかなか信用されない.一方,ケンプトンの部屋でケニーとセックス中のパメラが「ウェリントン公爵」を発見,ケンプトンを脅してくる.進退窮まったケンプトンはナショナルギャラリーに絵を返しに行き,その場で逮捕された….5_20230813163001
事実に基づく物語.前半のケンプトンの悪戦苦闘も興味深いが,後半の裁判劇(弁護士役のマシュー・グードが素敵!)のイギリスらしいユーモアも面白い.何よりドロシーとケンプトンの夫婦愛が(あいだに大げんかは数知れないが)感銘的.ジム・ブロードベントとヘレン・ミレンがさすがに見ごたえあり.4_20230813163001
裁判の結果は思いもよらないもので,これが事実に基づく物語なのだから,イギリスは日本とだいぶ違ったお国柄だ.更に最後の最後で明かされるどんでん返しにもびっくり.見て損はなし.邦題は丁寧な題名だが,原題は“The Duke”.「ウェリントン公爵」のことだろう.
★★★★(★5個が満点).
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