« 独断的映画感想文:ジョン・ウィック:コンセクエンス | トップページ | 独断的映画感想文:シスター 夏のわかれ道 »

2024/07/24

独断的映画感想文:ある男

日記:2024年7月某日
映画「ある男」を見る.5_20240725092801
2022年.監督:石川慶.
出演:妻夫木聡(城戸章良),安藤サクラ(谷口里枝),窪田正孝(谷口大祐/X(ある男)),清野菜名(後藤美涼),眞島秀和(谷口恭一),小籔千豊(中北),坂元愛登(悠人),山口美也子(武本初江),きたろう(伊東),でんでん(小菅),仲野太賀(谷口大祐(本物)),真木よう子(城戸香織),柄本明(小見浦憲男).3_20240725092801
離婚し子どもを連れ故郷の宮崎に戻った里枝,実家の文房具屋に立ち寄る青年:谷口大祐と再婚する.二人のあいだに娘花が生まれ,ささやかながら幸せな日々を送るが,ある日大祐は事故で亡くなる.1周忌のおりに大祐の実家の兄が弔問してくれるが,大祐の写真を見て大祐ではないと言い出す.里枝は前夫との離婚調停を担当した弁護士・城戸に,大祐と名乗った謎の人物”X”の調査を依頼する.
調査の結果,Xは谷口大祐ではないことは確定した.城戸は,「谷口」が大阪にいた時期に戸籍交換の仲介で逮捕され現在服役中の小見浦を,刑務所に訪ねる.小見浦は城戸が在日であることを見抜き揶揄し,谷口の戸籍交換に関わったことを認めつつ,その相手先については口を閉ざした.一方別の手がかりから,城戸はXの父が一家3人惨殺で死刑となった小林健介であることを突き止め,Xが母方の姓・原を名乗ってボクシングに励み,新人王決勝戦にまで至った原誠であることを知る….2_20240725092801
ある種のサスペンス映画と言える本作,決して単純明快な映画ではない.城戸は在日韓国人3世,国籍は日本で妻も日本人だが,常に在日への差別言辞に晒されている.原誠も新人王決勝に臨んだことで,以来死刑囚の子という中傷に晒される.Xに対しては大祐の兄恭一が,里枝の前で平然と遺産目当ての犯罪者と罵る.4_20240725092801
このような状況下,城戸が結論としてXが犯罪者ではなくまっとうに生きてきた原誠であると里枝に告げ,その後里枝と息子・悠人が父のことを語り合うシーンは秀逸.本当の谷口大祐も明らかになり映画は終わるが(大好きな仲野太賀がようやく出てきたが,台詞は「ううっ」だけだった),エピローグの映像は,観客を再度混沌の中に落とし込む.5_20240725092801
映画としての出来は良いが,扱う題材は楽しいものではない.それでも見ごたえのある映画.俳優は揃っていていずれも期待通り.子役ながら坂元愛登が良かった.柄本明の怪演がさすが.控えめだが美しい音楽も素敵.
★★★☆(★5個が満点).
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ


« 独断的映画感想文:ジョン・ウィック:コンセクエンス | トップページ | 独断的映画感想文:シスター 夏のわかれ道 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 独断的映画感想文:ジョン・ウィック:コンセクエンス | トップページ | 独断的映画感想文:シスター 夏のわかれ道 »