独断的映画感想文:シスター 夏のわかれ道
日記:2024年7月某日
映画「シスター 夏のわかれ道」を見る.
2021年.監督:イン・ルオシン.
出演:チャン・ツィフォン(アン・ラン),シャオ・ヤン(ウー・ドンフォン),ジュー・ユエンユエン(アン・ロンロン),ダレン・キム(アン・ズーハン).
冒頭,交通事故現場に呆然とたたずむアン・ラン.別居して暮らしていた両親が交通事故で共に即死したという.事故車に同乗していた幼稚園児の弟は無傷だった.アン・ランは看護師,一人っ子政策下の中国で両親は男子を望み,アン・ランを障害者と偽って第2子出産の許可を得,以来アン・ランは父の姉ロンロンに育てられた.アン・ランは看護師の傍ら,医師になるべく北京の大学院受験の準備に没頭し,同じ病院の医師である彼氏とともに北京に行く約束をしていた.
初めて会う実の弟ズーハン,親戚はズーハンを育てる責任はアン・ランにありとする.両親がアン・ラン名義に残した住宅にズーハンを引き取っての暮らしが始まるが,ズーハンは小皇帝として育った我が儘いっぱいな子,子育て経験もないアン・ランは振り回され事ごとに衝突する.人生のすべての目的を諦める瀬戸際に追い込まれたアン・ラン,家を売ってその金でズーハンを養子に出し,彼氏とともに北京に行って進学するというプランを実行に移そうとするが,ロンロンは姉は弟の面倒を見るものと言って反対し,彼氏は実母の言いなりで北京に行く気は最初からなかった.一方,ズーハンは次第に姉としてのアン・ランに懐いてくる….
一人っ子政策の犠牲者たるアン・ランの悪戦苦闘を描くドラマ.両親に捨てられたも同然のアン・ランは独立心旺盛,正義感強く周囲の無理解・不正には強く反発する.そのアン・ランが弟ズーハンに対し下した最終決定は何か.
徹底的に戦い主張し,時に困惑して涙を流すアン・ランを演じるチャン・ツィフォンが魅力的,一方子役ながらズーハンを演じるダレン・キムも達者な芝居で涙を誘う.また,育ての親同然のロンロンを演じるジュー・ユエンユエンも素敵.アン・ランとロンロンがむかし話をしながら西瓜を食べる終盤のシーンは,感銘的だ.
アン・ランが(そしてもちろんズーハンも)成長していく物語,結末は必ずしもハッピーエンドと言えるかどうかわからないが,二人のたくましい成長が示されるエンディングだ.一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点).
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