独断的映画感想文:銀平町シネマブルース
日記:2024年7月某日
映画「銀平町シネマブルース」を見る.
2022年.監督:城定秀夫.出演:近藤猛(小出恵介),梶原啓司(吹越満),佐藤伸夫(宇野祥平),足立エリカ(藤原さくら),大崎美久(日高七海),二ノ宮ハル(谷田ラナ),二ノ宮一果(さとうほなみ),高杉弥生(片岡礼子),桐谷陽子(藤田朋子),黒田新子(浅田美代子),谷口章雄(渡辺裕之).
近藤猛はあてもなく暮らす風来坊,かって住んだ街の公園で友人と会い借金を申し込むが,断られる.そのすきに全財産の入ったバッグをホームレスの男:佐藤に持ち逃げされる.途方に暮れていると,「NPO法人」を名乗る女に「生活保護を獲得するセミナー」に連れ込まれる.そこに居た佐藤から何とかバッグを取り戻すが,同じくセミナーに参加した梶原に誘われ,彼の経営する映画館「スカラ座」でバイトをすることになる.
スカラ座は借金で倒産寸前の映画館,常連の売れない俳優,売れないライター,売れないジャズバー経営者,中学生が集まり,スカラ座60周年を機に起死回生のイベントを行おうと相談する.近藤は実はかってそこそこ名の通ったカルト映画監督,しかし妻が主演したゾンビ映画の撮影中,腹心の助監督・高杉が自死したことにショックを受け,以来妻とも離婚し放浪してきた.バッグの中のノートパソコンに,編集未完の映画素材が入っていることを知った梶原は,その映画を起死回生イベントの目玉にするべく,編集作業の完了を近藤に迫る.近藤もかって通い映画監督になる決意を固めたこのスカラ座のために,編集作業に渾身で取り組むが….
金はないが熱意とそこそこの才能がある映画大好き人間が集まり,映画館を再生するという映画あるある物語.悪い人は「生活保護を獲得するセミナー」関係者以外は出てこない,ほのぼの映画.主演の小出恵介をベテラン実力俳優が盛り立てて,味のある和やかな映画を作り出した.
映画は登場人物たちのそれぞれの再生を暗示して終わるが,と言って現実の借金が消える訳でもない.この後どうなるかは,元気を取り戻した主人公たちが切り拓いていくのだろう.少しざらついた映像や,落ち着いた映画音楽も含め,映画の楽しさを堪能できる映画.一見の価値あり.
★★★★(★5個が満点).
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