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2024年9月に作成された記事

2024/09/26

独断的映画感想文:すずめの戸締まり

日記:2024年9月某日
映画「すずめの戸締まり」を見る.1_20240929215601
2022年.監督・脚本・原作:新海誠.
出演(声):原菜乃華(岩戸鈴芽),松村北斗(SixTONES)(宗像草太),深津絵里(岩戸環),松本白鸚(宗像羊朗),染谷将太(岡部稔),伊藤沙莉(二ノ宮ルミ),神木隆之介(芹澤朋也).2_20240929215601
宮崎の女子高生岩戸鈴芽はある朝の登校途中,すれちがった青年から「この辺に廃墟はあるか」と聞かれたことが気になり,引き返して昔温泉街だった廃墟に行ってみる.そこで不思議な扉を見つけた鈴芽,扉の向こうには美しい花野が見えるが,身体は扉を通過するだけ.付近に落ちていた神像のような石を拾うと,その瞬間石は猫に変身して姿を消した.5_20240929215601
高校に戻ると廃墟からは不思議な渦が立ち昇っているのが見える.彼女にしか見えないその現象に驚いた鈴芽が再度廃墟に行くと,先ほどの青年・草太が扉からあふれ出る渦を押さえ扉を閉めようと奮闘していた.協力して扉を何とか戸締りした二人,怪我をした草太の手当てのため鈴芽の家に行くと姿を消した猫・ダイジンが現れ,草太は鈴芽が幼いとき使っていた脚が1本欠けた木の椅子に姿を変えられてしまう.二人の猫を追う旅が始まる….3_20240929215601
最初の30分足らずでこのような無茶苦茶な設定と展開となり始まる長編アニメ.草太は日本各地にある「扉」から渦が抜けだして災いが起きないように戸締りをして回っている,「閉じ師」を家業としている青年.ダイジンを追って愛媛,神戸と行くたびに扉から渦があふれ出し,二人は奮闘して何とか扉を戸締りし続けるが,東京の渦との戦いが二人の運命をかけた戦いとなる.4_20240929215601
鈴芽は母子家庭で育ち,大震災で母は行方不明となり以降叔母の環に宮崎で育てられた.しかし幼い頃廃墟となった自宅近くの扉を抜けて花野にさ迷い出,失くした自分の椅子を誰かから受け取った記憶がある.その扉をもう一度見つけ,自分の運命を切り開こうとする鈴芽の最後の旅.6_20240929215601
アニメらしい無茶苦茶な設定とあれよあれよの展開,ついていくのは大変だが,物語の怒涛の進展につい引きずられて見てしまった.渦の本態も,何故花野から渦のようなものが溢れだしてくるのかも,猫の位置づけも,全てわからないままだが,鈴芽の真情と恋心に全て吹き飛ばされてしまうという映画.アニメの美しさは折紙つき.
★★★☆(★5個が満点).
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2024/09/22

独断的映画感想文:ラストマイル

日記:2024年9月某日
映画「ラストマイル」を見る.1_20240924172101
監督:塚原あゆ子.
出演:満島ひかり(舟渡エレナ),岡田将生(梨本孔),ディーン・フジオカ(五十嵐道元),大倉孝二(毛利忠治),酒向芳(刈谷貴教),宇野祥平(佐野亘),安藤玉恵(松本里帆),丸山智己(小田島),火野正平(佐野昭),阿部サダヲ(八木竜平).2_20240924172101
巨大物流業者DAILY FASTの関東一円を管轄する西武蔵野配送センターに,新しいセンター長船渡エレナが着任する.その前夜から,このセンターから発送された荷物が配送後顧客のもとで爆発,死傷者が出る事件が複数発生していた.エレナは部下の主任・梨本と対応するが,警察からは全貨物の出荷停止を命じられる.3_20240924172101
エレナは警察官に安全確認をさせた貨物の順次発送を行うが,発送の乱れは次第に大きくなる.配送を担当する羊急便の八木は,DAILY FASTからの苛烈な指示と顧客の膨大なクレームの板挟みとなる.一方エレナはネット上に偽のDAILY FASTのセールス告知を見つけ,その内容から爆発貨物は12個と特定.一方警察もその偽CMの発注者山崎佑を特定するが,山崎は5年前にDAILY FASTの倉庫内で転落し,以来植物状態で入院中だった….6_20240924172101
物流センター内の商品に爆発物が仕掛けられ出荷されるという,ありえない事態に挑むエレナと梨本,エレナの頭脳プレイで犯人と爆発物の絞り込みが進むが,エレナの言動には捜査をかく乱する動きもあって,梨本はエレナへの疑いも持つ.4_20240924172101
主軸である爆発物のサスペンスが息もつかせぬスピードと緊張感で進む一方,物流業界総体の構造に疲弊する人々が,終盤のドラマを構成していく展開も印象的.終盤たたみかけられるどんでん返しも見応え十分.映画にはドラマ「アンナチュラル」「MIU404」の世界・登場人物も相乗りしていて,またエンディングテーマは米津玄師が担当し,今どきのエンタテインメントとしての魅力も十分.5_20240924172101
★★★★(★5個が満点)
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2024/09/18

独断的映画感想文:波紋

日記:2024年9月某日
映画「波紋」を見る.1_20240924171301
2022年.監督・脚本:荻上直子.
出演:筒井真理子(須藤依子),光石研(須藤修),磯村勇斗(須藤拓哉),安藤玉恵(渡辺美佐江),江口のりこ(小笠原ひとみ),平岩紙(ひとみの友人)津田絵理奈(拓哉の恋人),柄本明(門倉太郎),木野花(水木),キムラ緑子(橋本昌子).2_20240924171301
一人息子を育てながら義父の介護をする依子,東日本大震災後間もなく,夫・修はある日家を出てそのまま行方不明となる.息子は大学を出て就職し九州へ,義父は亡くなった.3_20240924171301
依子はパートで働きながら庭を枯山水に変え,新興宗教に帰依して必死に祈り,更年期障害も出る中なんとか暮らしてきた.ある日修はまた忽然と帰ってくる.何もなかったように上がり込み,食事をして寛ぐ修.しかし修は癌に冒され,治療薬に多額の費用を必要としていた.その渦中に,息子・卓也が恋人を連れて帰ってくる.彼女は6歳年上で聾の女性だった….5_20240924171301
依子は体力的にはやたら元気なのに,主体性に欠け人に左右されやすく,かつかなり自分本位な女性.まあこういう人は周囲にもかなりいるタイプ,自分にもこういう傾向はある.という訳で夫が悪いとか彼女が正しいとか息子が偉いとか,そういうことではないのだが,さまざまなことの積み重なりに精神の安定をかき乱される主人公を描く映画.4_20240924171301
夫や息子やその恋人や隣人やその飼い猫や仕事先の嫌な客やらへの対応が,主人公の弱気や意地悪さやふとした反省やらでいろいろ変わり様々な波紋が広がって行く展開が飽きない.最後の最後に雨中の自宅庭で喪服のまま踊り出すフラメンコのシーン,さすがに筒井真理子,見応えあり.
★★★☆(★5個が満点).
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