独断的映画感想文:波紋
日記:2024年9月某日
映画「波紋」を見る.
2022年.監督・脚本:荻上直子.
出演:筒井真理子(須藤依子),光石研(須藤修),磯村勇斗(須藤拓哉),安藤玉恵(渡辺美佐江),江口のりこ(小笠原ひとみ),平岩紙(ひとみの友人)津田絵理奈(拓哉の恋人),柄本明(門倉太郎),木野花(水木),キムラ緑子(橋本昌子).
一人息子を育てながら義父の介護をする依子,東日本大震災後間もなく,夫・修はある日家を出てそのまま行方不明となる.息子は大学を出て就職し九州へ,義父は亡くなった.
依子はパートで働きながら庭を枯山水に変え,新興宗教に帰依して必死に祈り,更年期障害も出る中なんとか暮らしてきた.ある日修はまた忽然と帰ってくる.何もなかったように上がり込み,食事をして寛ぐ修.しかし修は癌に冒され,治療薬に多額の費用を必要としていた.その渦中に,息子・卓也が恋人を連れて帰ってくる.彼女は6歳年上で聾の女性だった….
依子は体力的にはやたら元気なのに,主体性に欠け人に左右されやすく,かつかなり自分本位な女性.まあこういう人は周囲にもかなりいるタイプ,自分にもこういう傾向はある.という訳で夫が悪いとか彼女が正しいとか息子が偉いとか,そういうことではないのだが,さまざまなことの積み重なりに精神の安定をかき乱される主人公を描く映画.
夫や息子やその恋人や隣人やその飼い猫や仕事先の嫌な客やらへの対応が,主人公の弱気や意地悪さやふとした反省やらでいろいろ変わり様々な波紋が広がって行く展開が飽きない.最後の最後に雨中の自宅庭で喪服のまま踊り出すフラメンコのシーン,さすがに筒井真理子,見応えあり.
★★★☆(★5個が満点).
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