独断的映画感想文:SHE SAID/シー・セッド その名を暴け
日記:2024年10月某日
映画「SHE SAID/シー・セッド その名を暴け」を見る.
2022年.監督:マリア・シュラーダー.
出演:キャリー・マリガン(Megan Twohey),ゾーイ・カザン(Jodi Kantor),パトリシア・クラークソン(Rebecca Corbett),アンドレ・ブラウアー(Dean Baquet),ジェニファー・イーリー(Laura Madden),サマンサ・モートン(Zelda Perkins).
ニューヨーク・タイムズの2名の女性記者が,映画プロデューサー:ハーヴェイ・ワインスタインの数十年にわたる性暴力犯罪を追究し,遂に記事を公開するに至る物語.トランプ大統領候補のセクハラ事件を告発した記者ミーガンは,直接脅迫電話を受ける事態となるなか,産休に入る.一方ジョディはワインスタインのセクハラ情報を入手するが,被害者たちの口は堅かった.
産休から復帰したミーガンと共に,ワインスタイン事件の取材を続ける二人,さまざまな関係者にあたり話し合いを続けるが,その壁をなかなか突き崩せない.被害者の多くはワインスタインの犯罪を会社に訴えるが,ミラマックス社は社の資金から膨大な示談金を払い続け,引き換えに証拠書類の引き渡しと秘密保持契約の締結を求めた.被害者側の弁護士も金銭的に有利な示談を勧め,結果として被害者は口を封じられてしまう,その構造が次第に明らかになって行く….
ハードで気の抜けない取材を続けていく一方で,ジョディもミーガンも子育て中だ.家庭でも夫と育児家事を分担しつつ,夜中にかかる電話にも対応し続ける二人の戦いが印象的.途中からはワインスタインの弁護士,ワインスタイン自身がニューヨーク・タイムズ社に乗り込み激しく抗議するが,取材チームの上司らも含めた結束が見事,逆にその弁護士やミラマックス社の社員たちにも取材を重ねて,情報を取っていく.映画は一定のリズムで記者たちの取材の積み重ねを記述し,次第に緊張感が高まっていく経過を描く.俳優陣も,等身大の記者たちが全力を挙げて取材に奔走する様を演じ,共感できる.告発者の一人として,アシュレイ・ジャッドが本人役で出演しているのも感銘的だ.見ごたえある映画,お勧めです.
★★★★☆(★5個が満点).
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