独断的映画感想文:市子
日記:2025年1月某日
映画「市子」を見る.
2023年.監督:戸田彬弘.
出演:杉咲花(川辺市子),若葉竜也(長谷川義則),森永悠希(北秀和),倉悠貴(田中宗介),中田青渚(吉田キキ),石川瑠華(北見冬子),大浦千佳(山本さつき),渡辺大知(小泉雅雄),宇野祥平(後藤修治),中村ゆり(川辺なつみ).
小さなアパートで長谷川と暮らす川辺市子,同棲して3年となる.この夜,長谷川が結婚を申し込み書類を渡すと,市子は涙を流して喜んだ.しかし翌日忽然と市子は姿を消す.
市子を探して警察にも行く長谷川,しかし彼を訪れた刑事後藤は,川辺市子という人物の戸籍はないと言う.後藤は生駒山中で発見された身元不明の難病患者死体遺棄事件の担当だった.長谷川と後藤の調べで次第に明らかになっていく市子の人生,市子の幼馴染みは小学校入学時には彼女は月子と名前が変わっていたと言う.月子の家は貧しい母子家庭で,妹は難病で寝たきり,母親が水商売をしていたが福祉の担当者に体を許してもいた….
市子は母親の離婚後に生まれた為,母親は父親の暴力から逃れるため市子の戸籍登録を行わなかったらしい.その為市子は小学校入学時には,妹月子の学籍を使った.しかし月子が死去した後市子は無戸籍者として暮らして来た.免許も取れず病院にも行けない生活を強いられた.
この3年市子は長谷川との小さいながら安定した暮らしに喜びを感じ,またケーキ屋のバイト先で親しくなった子と,将来独立してケーキ屋を営もうと誘われてもいた.一方で市子の周辺では2件の死亡事件が発生しているのだ.市子はどういう存在なのか,この後市子はどうなるのか.
市子を演じる杉咲花の,虚無的でときに激情を爆発させる演技が魅力的.周りの演技陣も達者で物語に入り込める.物語に希望はなく結末はやりきれないが,印象に残る映画.
★★★☆(★5個が満点).
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