独断的映画感想文:侍タイムスリッパー
日記:2025年3月某日
映画「侍タイムスリッパー」を見る.
2023年.監督・脚本・撮影:安田淳一.
出演:山口馬木也(高坂新左衛門),冨家ノリマサ(風見恭一郎),沙倉ゆうの(山本優子),峰蘭太郎(殺陣師関本),庄野崎謙(山形彦九郎),紅萬子(住職の妻節子),福田善晴(西経寺住職),井上肇(撮影所所長井上),安藤彰則(斬られ役俳優安藤),田村ツトム(錦京太郎).
高坂新左衛門は会津藩士,同志と共に長州藩士・山形彦九郎と対決中,雷に打たれ昏倒する.目覚めたところは京都撮影所,オープンセットでの殺陣シーンに紛れ込んだ高坂は助監督・山本優子に叱られ追い出されるが,撮影機材で頭を強打,病院送りとなる.
病院で気がついた高山は,幕府滅亡から140年経っていることを知り愕然.優子の世話で,奇しくも140年前にその門前で彦九郎と対峙した西経寺に拾われ,寺男として居候となる.やがて撮影所の斬られ役として働きだした高坂は,剣術の腕と真面目な人柄を認められ,殺陣師関本の許しを得て斬られ役集団「剣心会」入門を許される….
インディーズとして製作され商業劇場で上映されるや人気爆発し,一気に全国チェーンでの上映に拡大した傑作時代劇.とにかく脚本が無茶苦茶に面白い.出だしの雷に打たれタイムスリップという展開はともかく,高坂が出現したのが京都撮影所という経過,一度は時代劇を捨てた大御所・風見恭一郎が時代劇復帰に際し高坂を相手役に指名した謎,クライマックスの高坂・風見の直接対決シーンのド迫力等,映画としての見どころに満ちている.エピローグの落ちも秀逸.
「10名たらずの自主映画のロケ隊が時代劇の本家、東映京都で撮影を敢行する前代未聞の事態」の中できあがった本作だが,全編が映画愛に満ちていて感動した.助監督役の沙倉ゆうのが,現場では俳優兼任で実際の助監督だったという嘘のような本当の話も,面白い.見て損はなし,お勧めです.
★★★★(★5個が満点).
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