独断的映画感想文:名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN
日記:2025年3月某日
映画「名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN」を見る.
2024年.監督:ジェームズ・マンゴールド.
出演:ティモシー・シャラメ(ボブ・ディラン),エドワード・ノートン(ピート・シガー),エル・ファニング(シルヴィ・ルッソ),モニカ・バルバロ(ジョーン・バエズ),ボイド・ホルブルック(ジョニー・キャッシュ),ダン・フォグラー(アルバート・グロスマン),ノーバート・レオ・バッツ(アラン・ローマックス),スクート・マクネイリー(ウディ・ガスリー).
1960年から1965年までのボブ・ディランを描く.この時期のディランを描いた映画には,既にマーティン・スコセッシ監督の3時間半にわたるドキュメンタリー映画「ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム」がある.本作は歴史的事実を追ったものではなく,ひたすら詩人でありミュージシャンであり続けようとしたディランの,60年代前半の愛と音楽の物語と言えようか.
映画はN.Y.に出てきたディランが憧れのウディ・ガスリー,ピート・シガーと出会うところから始まる.俳優自身によって歌われるこの時期の音楽が懐かしく素晴らしい.ピート・シガーがライブで聴衆と共に歌う「ライオンは眠っている」も素敵だったが,ディランになり切って唄い演奏するティモシー・シャラメがとにかく最高.ジョーン・バエズ役のモニカ・バルバロも素晴らしい.
時代背景のキューバ危機,ワシントン大行進,ベトナム戦争,ケネディ大統領暗殺等もバランスよい緊張感で描かれ,ディランがフォークアイドルからミュージッシャンとして飛躍を遂げようとする意志と,フォーク原理主義者ともいうべき人達との葛藤がよく理解できる. 1965年7月のニューポート・フォーク・フェスティバルの迫力ある経過は,クライマックスに相応しく,その後のウディ・ガスリーとのエピローグに泣かされた.見ごたえある映画.
★★★★☆(★5個が満点).
蛇足:この映画の題名も,マーティン・スコセッシのドキュメンタリーの題名も,名曲「ライク・ア・ローリング・ストーン」から取られている.最後にこの曲のリフレインの歌詞を載せてボブ・ディランに敬意を表しておこう.
How does it feel, how does it feel?
To be on your own,
with no direction home
a complete unknown,
like a rolling stone
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