独断的映画感想文:ナミビアの砂漠
日記:2025年6月某日
映画「ナミビアの砂漠」を見る.
2024年.監督・脚本:山中瑶子.
出演:河合優実(カナ),金子大地(ハヤシ),寛一郎(ホンダ),新谷ゆづみ(イチカ),中島歩(東高明),唐田えりか(遠山ひかり),渋谷采郁(葉山依),澁谷麻美(吉田茜),倉田萌衣(瀬尾若菜),伊島空(三重野),堀部圭亮(林恒一郎),渡辺真起子(林茉莉).
カナは脱毛エステのスタッフとして働く21歳.友人のイチカと会い,彼女が同級生が亡くなったという深刻な話をしているのに,カナはその話に集中できない.隣の席で話している男たちの方に注意が向いている.帰りたくないというイチカと,先ほどのとなりの席の男性たちと一緒に飲むことになるが,カナはさっさと途中で帰ってしまう.帰った先はホンダと同棲しているアパート,ホンダは甲斐甲斐しくカナの世話を焼き,寝かしてくれる.カナはハヤシとも二股をかけている.ハヤシからは今の男と別れて一緒に暮らしてくれと云われる.ホンダが北海道出張で誘われて風俗に行ったと告白したことをきっかけに,カナはホンダの留守中に引っ越しを敢行,ハヤシとともに新しいアパートに移ってしまう.カナは鼻ピアスを,ハヤシはタトゥーを入れ愛を誓うのだった.
ハヤシは物書きで自宅で仕事をするタイプ,自宅で暇を持て余すカナと衝突が始まる.喧嘩でアパートを飛び出し,階段から転落して怪我をするカナ,ハヤシはカナの世話をしてくれるが,回復すると喧嘩はまたエスカレートしていく.カナはハヤシの荷物にあった胎児のエコー写真を突き付け,その子はどうなったと激しく詰め寄る….
カナがハヤシと云う男と向き合っていく過程の物語.ホンダといたときはカナは何もしなくてもホンダが仕えてくれた.ハヤシと付き合って初めて,カナは自分がハヤシからどう見られるかを意識する.ハヤシの両親からバーベキューに招かれたときに,「非常識だと思われたくない」と服装を気にするカナ(しかし鼻ピアスはそのままだ).
カナは母親が中国人というルーツがあり,そのことも改めて意識にのぼってくる.またカウンセラーからはある点での規範意識が強すぎるという指摘を受ける.隣の部屋の英会話教師ひかりからも助言を得る.それまでとりとめもなく過ぎていった日々が,少しずつ変わっていく様だ.終盤またもやハヤシと組んずほぐれつ取っ組み合いの大喧嘩をしているカナ,しかしその喧嘩はそれまでと違って明るい,アスレチックのような雰囲気がある.
河合優美が何とも魅力的,自分勝手で手の付けられない女だが爆発的な魅力を持つ女・カナを見事に演じている.ラストシーンはナミビアの砂漠のライブカメラの映像.水場の周りに集まってくる動物たちが,微妙な距離をお互いにとって入れ替わり水を飲んでいる様子が映し出される.★★★★(★5個が満点).
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