独断的映画感想文:ミツバチと私
日記:2025年7月某日
映画「ミツバチと私」を見る.
2023.スペイン.監督・脚本:エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン.
出演:ソフィア・オテロ(Lucia),パトリシア・ロペス・アルナイス(Ane),アネ・ガバライン(Lourdes),イツィアル・ラスカノ(Lita),マルチェロ・ルビオ(Gorka).
フランス・バスク地方に住む8才のアイトールは朝から不機嫌.出かけなければいけないのに服が気に入らない,行きたくないと怒る.アイトールと呼ばれることがそもそも気に入らなくて,姉も兄も彼をココ(フランス語で可愛い子という一般名詞)と呼ぶが,その呼び方さえ嫌がるときもある.今日は皆で列車に乗りスペイン・バスク地方のお祖母ちゃんの家に夏休暇に行く.父ゴルカは留守番,母アネは亡父の工房で塑像を作成し,美術学校教員試験の提出物とするつもりだ.男の子の友達のいないアイトールは,同年齢の親戚のニコと仲良くなって心を許すが,祖母からはもっと男の子らしくするよう注意される.その中でミツバチを飼う叔母のルルデスはアイトールの気持ちを認め,女の子として接してくれる….
男の子として生まれながら,自分の性自認に不安を覚える主人公の,葛藤と決意を描く.お祖母ちゃんや親戚の人たちは,髪の毛を切り少年らしくするようにと云う.父も髪を伸ばし中性的な服装を許すのは甘やかしだと考えている.母は当面は好きにさせておけば良いと考えているが,自身の塑像作成に打ち込んでアイトールのことに気が回らない.
ルルデスは,一緒にミツバチの世話をしながらアイトールの不安に耳を傾け,そのままのアイトールを肯定する.ルルデスと共に行った礼拝堂で聖ルシア像を見たアイトールは,自分の名前はルシアがいいと言うのだった….
幼くて自分の性自認に悩み,自分なりの結論を出す主人公に,感銘を受けた.映画の終盤,いなくなったアイトールを親戚が総出で探す場面で兄と母が「ルシア!」と呼んで探すシーン,ルシアが夕暮れの養蜂場で蜂の箱を一つずつ杖でノックしながら「蜂さん,蜂さん,ルシアですよ」と云って回るシーンが印象的.この困難な役を見事に演じたソフィア・オテロが,第73回ベルリン国際映画祭で最優秀主演俳優賞を史上最年少で受賞したのもうなずける.深い感動を得る映画.
★★★★☆(★5個が満点).
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