独断的映画感想文:教皇選挙
日記:2025年8月某日
映画「教皇選挙」を見る.
2024年.アメリカ=イギリス.監督:エドワード・ベルガー.
出演:レイフ・ファインズ(ローレンス),スタンリー・トゥッチ(ベリーニ),ジョン・リスゴー(トランブレ),セルジオ・カステリット(テデスコ),ルシアン・ムサマティ(アデイエミ),カルロス・ディエス(ベニテス),イザベラ・ロッセリーニ(シスター・アグネス).
教皇が急死した.首席枢機卿トマス・ローレンスは教皇選挙(コンクラーベ)を開催するべく準備を始める.やがて世界から集まった100人を超える候補者たちはシスティナ礼拝堂に集い,最終候補が過半数の票を得るまで続く,長い長い教皇選挙に臨む.ローレンスは一度枢機卿の辞意を教皇に願い出たこともあり野心はなかったが,立場上選挙を取り仕切ることになった.議場閉鎖の直前,新しい枢機卿としてカブール教区のベニテスが登場する.誰も知らない存在だったが,教皇の書類が確認され投票に加わることとなった.
第1回投票ではナイジェリア教区のアディエミが優位となり初の黒人教皇の誕生も予想されたが,アディエミに若き日のスキャンダルがあったことを知ったローレンスは,アディエミに退くよう勧告する.一方でアディエミのスキャンダルの相手を,選挙期間にシスタースタッフの中に入れるべくわざわざ呼び出した人物がいることも判明する.それは誰か.
また,モントリオール教区のトランブレが,教皇からその死の直前に罷免を申し渡されていたという証言がもたらされたが,トランブレはそれを事実無根と否定する.リベラル派のベリーニの票は伸びず,超保守派で排外主義的なテデスコが票を伸ばす中,ローレンスは信念に従って思い切った行動に出る….
権謀術数渦巻く教皇選挙の状況を,重厚なカメラワークと見事な物語展開で描く好編.野心はないようにふるまっていても自分の票が伸びないことに苛立つ候補,ローレンスに票が入っていることに対しローレンスに野心があると攻め立てる候補,物証のない中で不正と対決する勇気を持てない候補,投票の度に揺れ動く各候補の姿に,ローレンスは自分が起つほかないかと思い定めるが,その後意外な出来事が情勢を根底から覆す.おもわぬところで決定的な証言を切り出す,シスター・アグネスの動きも印象的だ.全ての謎が解けるラストシーン,ローレンスの心に平安は訪れたのだろうか.見応えのある好編だ.
★★★★(★5個が満点).
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