独断的映画感想文:高野豆腐店の春
日記:2025年9月某日
映画「高野豆腐店の春」を見る.
2023年,日本.監督・脚本:三原光尋.
出演:藤竜也 (高野辰雄),麻生久美子(春),中村久美(中野ふみえ),徳井優(金森繁),竹内都子(金森早苗).
時は平成30年ごろ,舞台は尾道.高野辰雄は出もどりの娘・春と豆腐屋を営んでいる.辰雄の豆腐はこだわりの豆腐で,自身の店で売る他はスーパー1カ所に卸しているだけ.
ある日医師から心臓に問題があると告げられた辰雄,春の将来を思い悪友らの勧めに従って春のお見合いを画策するが,実は春は心に思う人がいた.一方辰雄は,同じ病院に通う中野ふみえが,スーパーで働いていることから知り合いとなる.身寄りもなく独り暮らしのふみえを,辰雄は気遣うようになっていった….
親子それぞれのロマンスの行方を描くヒューマンドラマ.藤竜也,麻生久美子,中村久美の演技がそれぞれに見ごたえあり.脇を固める徳井優,菅原大吉,山田雅人らのコミカルな演技も素敵.
ところでこの映画は単にコミカルなヒューマンドラマではなく,その背後に戦争と原爆というものがあることが,映画の中盤から明らかになっていく.ふみえが天涯孤独の身(親類と云えば,彼女の土地と家を狙っている姪夫婦しかいない)で病を得ているのも,辰雄が妻を早くに亡くしているのも,その背後には戦争と原爆がある.
それを踏まえた映画の終盤は心に響く.辰雄の胸で春が子どもの様に泣くラストシーンには涙を禁じ得なかった.ロケ地・尾道の風景や人の言葉も心地よい.
★★★★(★5個が満点).
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