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2025年10月に作成された記事

2025/10/26

独断的映画感想文:碁盤斬り

日記:2025年10月某日
映画「碁盤斬り」を見る.1_20251030190301
2024年.日本.監督:白石和彌.
出演:草彅剛(柳田格之進),清原果耶(お絹),中川大志(弥吉),奥野瑛太(梶木左門),音尾琢真(徳次郎),市村正親(長兵衛),斎藤工(柴田兵庫),小泉今日子(お庚),國村隼(萬屋源兵衛).2_20251030190301
古典落語「柳田格之進」に「文七元結」を少し足して,自分を陥れ妻を死に追いやった旧同僚への仇討ちを本筋に加えた物語.主人公柳田格之進は今は浪人の身,碁の名手で真面目一方,平生は穏やかな人柄だが,不正に対しては容赦のないところがある.共に暮らす一人娘・お絹は,父と二人の貧乏暮らしにも何一つ不平を言わず,縫物で生計を支え父の世話に勤めている.5_20251030190301
とあることでやはり碁の好きな萬家源兵衛と知り合った格之進は,源兵衛の屋敷で度々碁を打つようになる.月見の晩に萬家に招待を受けた格之進は,やはり遅くまで碁を打って帰ったが,源兵衛と二人で碁を打っていた部屋から50両が消える事件が起きる….6_20251030190301
主人源兵衛に無断で番頭・徳次郎は,手代の弥吉をやって格之進に50両の心当たりを尋ねさせる.疑いを受け一度は切腹を覚悟した格之進だが,そこにかって仕えた旧藩から使者が来て,旧同僚・柴田兵庫が格之進を讒言により陥れたこと,また格之進の妻を凌辱しそのため妻が自害したことが明らかになり,柴田兵庫は逐電したことが知らされる.格之進はお絹を旧知の遊郭の女将・お庚に預け50両の金を作るとこれを弥吉に渡し,長屋を引き払って柴田兵庫の後を追った….3_20251030190301
時代劇としての映像や映画の骨格はしっかりしている.草彅剛,清原果耶,中川大志,小泉今日子,國村隼がいずれも期待通りの好演で,見応えあり.プロットがやや隅々にしっくりしないところがあり,映画を見終わった後で,さてあれは何故だったのだろうなどと思いつくことはあったが,映画全体の雰囲気は素敵だ.最終局面での「碁盤斬り」のシーンはなかなかの迫力だった.
★★★☆(★5個が満点)4_20251030190301
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2025/10/06

独断的映画感想文:ゴースト・ドッグ

日記:2025年10月某日
映画「ゴースト・ドッグ」を見る.
1999年.アメリカ,日本,フランス,ドイツ.1_20251008160801
監督・脚本・製作:ジム・ジャームッシュ.製作:リチャード・ゲイ.
出演:ゴースト・ドッグ(フォレスト・ウィテカー),レイ・ヴァーゴ(ヘンリー・シルヴァ),ソニー・ヴァレリオ(クリフ・ゴーマン),レイモンド(イザーク・ド・バンコレ),ルーイ・ボナセリ(ジョン・トーメイ),パーライン(カミーユ・ウィンブッシュ),ルイーズ・ヴァーゴ(トリシア・ヴェッシー),ハンサム・フランク(リチャード・ポートナウ).4_20251008160801
主人公は凄腕の殺し屋:ゴースト・ドッグ,淡々と殺しをこなす.連絡は伝書鳩でしか行わない.日本の武道書「葉隠れ」を愛読しており,その内容に忠実に生きている.マフィアの一員ルーイに若い時命を救われたことがあり,以来ルーイを主人・自分は家来とみなしている.
ある日ルーイの指示でマフィアのフランク殺害を請け負ったゴースト・ドッグ,フランクはボス:レイの溺愛する娘・ルイーズとできてしまい,殺すよう指示が出たのだ.ゴースト・ドッグはフランクの部屋に乗り込み仕事を済ませるが,手違いから部屋にはルイーズがいた.ゴースト・ドッグはそのまま引き上げるが,フランク殺しが父親の命令だとルイーズに知られるのを恐れたレイは,ゴースト・ドッグを始末するよう組織に命じる….3_20251008160801
一風変わった殺し屋の物語.レイの組織はかなりのポンコツで手下はロートルばかり,溜まり場の家賃をためて大家に叱られる始末.そのロートルたちが,「屋上に伝書鳩を飼っている黒人の大男」を次々に襲う.留守中に伝書鳩を皆殺しにされたゴースト・ドッグは,ついに反撃に転じた.ポンコツヤクザ対葉隠れ殺し屋の戦いの行方は如何に….6_20251008160801
映画のテイストも少し変わっている.ゴースト・ドッグの唯一の親友はハイチ人のアイスクリーム屋だが,彼はフランス語しか話せず言葉は通じない.ルイーズの愛読書は「羅生門」で,フランク殺しの時ゴースト・ドッグはルイーズにこの本を貸してもらう.ゴースト・ドッグは謎のハイテク機器を持っており,この機器のボタンを押すと他人の車のドアは開いてエンジンがかかる.すると彼はCDを取り出して音楽を聞きながら殺しの現場に向かう.5_20251008160801
少しおかしなエピソードが,少しずつヴァリエーションを起こしながら淡々としたテンポで進んでゆくのに,だんだんはまって行く映画.一方で殺し屋としてのアクションは,眼を見張るほど鮮やかだ.映画の終盤,マフィアの意地をかけたルーイとの1対1の決闘シーンは見応えあり.最後に一羽残った鳩が舞い降りてくるのにも泣かされた.映画らしい映画,一見の価値あり.2_20251008160801
★★★☆(★5個が満点).
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