独断的映画感想文:ゴースト・ドッグ
日記:2025年10月某日
映画「ゴースト・ドッグ」を見る.
1999年.アメリカ,日本,フランス,ドイツ.
監督・脚本・製作:ジム・ジャームッシュ.製作:リチャード・ゲイ.
出演:ゴースト・ドッグ(フォレスト・ウィテカー),レイ・ヴァーゴ(ヘンリー・シルヴァ),ソニー・ヴァレリオ(クリフ・ゴーマン),レイモンド(イザーク・ド・バンコレ),ルーイ・ボナセリ(ジョン・トーメイ),パーライン(カミーユ・ウィンブッシュ),ルイーズ・ヴァーゴ(トリシア・ヴェッシー),ハンサム・フランク(リチャード・ポートナウ).
主人公は凄腕の殺し屋:ゴースト・ドッグ,淡々と殺しをこなす.連絡は伝書鳩でしか行わない.日本の武道書「葉隠れ」を愛読しており,その内容に忠実に生きている.マフィアの一員ルーイに若い時命を救われたことがあり,以来ルーイを主人・自分は家来とみなしている.
ある日ルーイの指示でマフィアのフランク殺害を請け負ったゴースト・ドッグ,フランクはボス:レイの溺愛する娘・ルイーズとできてしまい,殺すよう指示が出たのだ.ゴースト・ドッグはフランクの部屋に乗り込み仕事を済ませるが,手違いから部屋にはルイーズがいた.ゴースト・ドッグはそのまま引き上げるが,フランク殺しが父親の命令だとルイーズに知られるのを恐れたレイは,ゴースト・ドッグを始末するよう組織に命じる….
一風変わった殺し屋の物語.レイの組織はかなりのポンコツで手下はロートルばかり,溜まり場の家賃をためて大家に叱られる始末.そのロートルたちが,「屋上に伝書鳩を飼っている黒人の大男」を次々に襲う.留守中に伝書鳩を皆殺しにされたゴースト・ドッグは,ついに反撃に転じた.ポンコツヤクザ対葉隠れ殺し屋の戦いの行方は如何に….
映画のテイストも少し変わっている.ゴースト・ドッグの唯一の親友はハイチ人のアイスクリーム屋だが,彼はフランス語しか話せず言葉は通じない.ルイーズの愛読書は「羅生門」で,フランク殺しの時ゴースト・ドッグはルイーズにこの本を貸してもらう.ゴースト・ドッグは謎のハイテク機器を持っており,この機器のボタンを押すと他人の車のドアは開いてエンジンがかかる.すると彼はCDを取り出して音楽を聞きながら殺しの現場に向かう.
少しおかしなエピソードが,少しずつヴァリエーションを起こしながら淡々としたテンポで進んでゆくのに,だんだんはまって行く映画.一方で殺し屋としてのアクションは,眼を見張るほど鮮やかだ.映画の終盤,マフィアの意地をかけたルーイとの1対1の決闘シーンは見応えあり.最後に一羽残った鳩が舞い降りてくるのにも泣かされた.映画らしい映画,一見の価値あり.
★★★☆(★5個が満点).
![]()
![]()
![]()
人気ブログランキングへ


コメント