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2025年11月に作成された記事

2025/11/15

独断的映画感想文:宝島

日記:2025年11月某日
アップリンク吉祥寺へ,映画「宝島」を見る.1_20251121165501
2025年.日本.監督:大友啓史.
出演:妻夫木聡(グスク),広瀬すず(ヤマコ),窪田正孝(レイ),中村蒼(小松),瀧内公美(チバナ),尚玄(タイラ),木幡竜(ダニー岸),奥野瑛太(謝花ジョー),村田秀亮(とろサーモン)(辺土名),デリック・ドーバー(アーヴィン・マーシャル),ピエール瀧(喜舎場),栄莉弥(ウタ),塚本晋也(徳尚),永山瑛太(オン).2_20251121165501
1952年の沖縄,米軍基地から物資を盗み出し住民に配賦する「戦果アギャー」と呼ばれる若者たちがいた.幼馴染のグスク,レイ,ヤマコ等を率いるリーダーのオンは,ただ物資を盗み出すだけでなく,沖縄の未来を見据え学校を作るという夢を語る.オンの恋人ヤマコは,それなら自分は教師になると云うのだった.
ある日の襲撃時,思わぬ敏速な米軍の追跡が始まり命からがら逃げのびた「戦果アギャー」,しかしその晩からオンは忽然と姿を消す.ヤマコはチバナが経営するバーの女給をしながら教員免許を取り教師に,グスクは刑事に,レイはヤクザになってそれぞれオンを探し続けた.3_20251121165501
1958年,グスクは女性を暴行殺害した米兵を追って捜査,容疑者を確保するが米軍のMPが来て容疑者を連行してしまう.この一件でグスクは米軍諜報部高官のアーヴィンと情報交換をする協力関係を結ぶ.ヤマコの勤める小学校には米軍機が墜落,パイロットは脱出したが多数の児童らが亡くなった.その後もオンを探してその情報を求めるグスクは,米軍諜報部の手先ダニーに捕まり傷めつけられる.ベトナム戦争が本格化し,荒れた米兵たちの犯罪が激しくなる.一度決裂したアーヴィンとの関係を修復したいとの迎えがあり,ダニーが運転する車に乗ったグスクは,コザ市街で発生した米軍兵士による交通事故をきっかけとした暴動に巻き込まれた….5_20251121165501
戦果アギャーの夜から20年にわたる壮大な叙事詩をえがく,3時間を超える長編映画.コザの英雄オンの面影を軸に,教師であり祖国復帰運動の活動家となるヤマコ,そのヤマコを慕いつつそれぞれにオンの行方を追及し続けるグスクとレイの悪戦苦闘が描かれる.その裏に展開する密輸集団,那覇ヤクザ,コザヤクザの暗躍,米軍関係者らの動きも織り込まれ,物語の行方は予断を許さない.
物語の山場コザ暴動の現場の高揚感,グスクの哄笑,チバナのアジテーションには,見ているこちらも興奮を抑えきれない.その現場で出会ったグスク,レイ,ヤマコの面前に一瞬オンらしき人影が垣間見え,仲間とともに突き進んでいく.思わず背筋が粟立つ一瞬だ.4_20251121165501
暴動の隙をついて基地に潜入するレイ,それを追うグスク.レイは暴力で対抗しなければ暴力に拠る相手には話が通じないと主張し,グスクは暴力に暴力で対抗しては人間は駄目になってしまうと訴える.まさに駄目になりつつある世界にいる自分たちには,何が云えるだろう.訴える力は強く,深い感銘を受ける映画.
沖縄方言の台詞が聞き取りにくく,細かい事情などが判り難い部分はあったが,全体の感動が損なわれることはない.妻夫木聡,広瀬すず,窪田正孝,永山瑛太,瀧内公美らの熱演は見事.群衆エキストラとその叫び声の圧倒的迫力にも感動した.
★★★★☆(★5個が満点).
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2025/11/10

独断的映画感想文:旅と日々

日記:2025年11月某日
映画「旅と日々」を見る.1_20251111181801
2025年,日本.監督・脚本:三宅唱,原作:つげ義春(「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」).
出演:シム・ウンギョン(李),河合優実(渚),高田万作(「夏男」),堤真一(べん造),斉藤陽一郎,松浦慎一郎,足立智充,梅舟惟永,佐野史郎.2_20251111181801
アパートの一室で脚本家・(李)が眉間にしわを寄せながら脚本を書いている.その脚本通りの画面が展開し始め,海辺の町で渚と夏男が出会う.いつしか言葉を交わすようになった二人,翌日も会おうということになったが翌日は大時化,しかし土砂降りの大波が寄せる海で二人は泳ぎ始める.
という映画が終わって監督と二人,上映会の質疑応答に臨む李.その後恩師の教授が急逝し,失意のうちに当てのない旅に出る.その旅で泊まる羽目になった宿は,やる気のない主人:べん造が一人いるだけの雪に潰されそうな民家.べん造と二人でいろりの横に布団を敷いて寝ることになるが….3_20251111181801
前半の映画(海辺の叙景)は,全体から云えば劇中映画ということになる.どういう設定かもどういう登場人物かも判らないが,河合優実(とそのビキニスタイル)の存在感が圧倒的.渚の指示通りに荒海を次第に沖に向かって泳ぎ続ける夏男のシーンはスリリングだ.4_20251111181801
後半は李の一人旅,何もない宿の主人との二人暮らしが気に入ったのか,李は連泊しべん造との会話が続く.べん造がなかなかツボを突いた質問をしたり,その作る料理が下手くそだったり,李のストレスがほどけていって畳に寝ながらひくひく笑っていたりするシーンが面白い.やがてある事件が起こって二人はともに婦警さんに油を搾られることになるのだが,この場面も傑作.5_20251111181801
つげ義春の原作らしい,緩いけれどどこか本質的なところのある物語展開が生かされている.もの静かだが豊か,真面目だがユーモラスな映画.劇中映画から本筋のシーンへ移行していく場面の映像処理なども印象的.
★★★★(★5個が満点).
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