独断的映画感想文:チャンス(1979)
日記:2025年12月某日
映画を「チャンス」を見る.
1979年.アメリカ.監督:ハル・アシュビー.
出演:ピーター・セラーズ(チャンス),シャーリー・マクレーン(イブ・ランド),メルヴィン・ダグラス(ベンジャミン・ランド),ジャック・ウォーデン(大統領),リチャード・ダイサート(ロバート医師).
朝目が覚めてベッドの中からリモコンでTVをつける主人公チャンス.画面ではオーケストラが「未完成」を演奏している.チャンスは「じいさま」のお屋敷に住み込みで雇われている庭師.着替えていつもの様に食堂に出ると,家政婦のローズが「じいさま」が亡くなっていると云う.それが理解できないチャンス.
いつも通り庭の手入れをしていると,弁護士がやって来て屋敷からの退去を申し渡される.仕方なく「じいさま」からもらった上等の服を着てトランクを持ち,帽子をかぶってドアを開けるチャンス,屋敷の外に出るのは初めてなのだ.バックにはデオダートのアレンジ・演奏による「ツァラトゥストラはかく語りき」が流れる.
ワシントンDCの一角にあるお屋敷だが,門外は荒れ果てたスラムに面している.チャンスは街をさすらううちに,車に轢かれる交通事故に遭う.車の持ち主イブは心配し,チャンスを自宅に招く.幸い怪我は軽傷で,チャンスは暫くイブのもとに滞在することになるが,屋敷の主は重病に苦しむ米国経済界の大立者・ランドだった.
おだやかな人柄と率直な気遣いを示すチャンスにランドは心を許し,見舞いに訪れた米国大統領にもチャンスを紹介する.大統領が焦点の経済政策について尋ねた質問に,「根が良ければ時期さえ来れば必ず花は咲く」等と庭師の心得を答えたチャンス.大統領は我が意を得たつもりで,記者会見でチャンスのこの言葉を紹介する事態となった….
チャンスは知的障害者,読み書きもできずお金を使ったこともない.「じいさま」の元で庭師として育てられ庭師として働いてきた.そのチャンスの言葉(それを紹介する大統領の言葉)に踊らされる米国の政界・経済界,チャンスの経歴はどう調べても判らず,これはCIAとFBIの陰謀論に発展する.噂がうわさを呼んでチャンスの声望は高まるばかり,イブはチャンスに恋心を抱きそのベッドを訪れる.一方ランドはチャンスの見舞いの言葉に心を安んじ,チャンスの手を握り静かに世を去るのだった….
ニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」を下敷きにした小説「庭師 ただそこにいるだけの人」が原作というと,映画の構成が良く判るだろう.寓話的映画だが,演じるピーター・セラーズ,シャーリー・マクレーン,メルヴィン・ダグラスらが,必要にして充分・的確な演技で最後まで緊張感のある物語をつないでいく.ランドの葬儀の場から離れたチャンスがそのまま湖の水面を歩いていく,神の子を思わせるラストシーンが印象的.見て損はなし.
★★★★(★5個が満点).
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